幕張総合高校(千葉)将棋部は、女子が全国高校選手権で6度の団体優勝を誇る強豪だ。3月の全国高校女子選抜では礒谷真帆さん(2年)が優勝した。高校から本格的に将棋を始める部員も少なくない中、経験者が初心者に教え、盤面と向き合いながら個々の棋力を磨き、部の強さを維持してきた。
放課後、部員たちは思い思いに活動を始める。すぐに誰かと将棋を指す者もいれば、本を片手に棋譜並べや詰め将棋を黙々と行う者もいる。部長の大橋靖國君(3年)が「部の中ではまだまだですが、入部したころよりはだいぶ強くなった」と言うように、日々の積み重ねで力を着実につけていく。
実力者・未経験者が混在
プロ棋士の養成機関である奨励会に通う者から未経験者まで、部員のレベルは幅広い。それでいて「良い意味で他の部と違って、先輩と後輩の上下関係が緩い」(礒谷さん)ため、実力差や学年に関係なく気軽に対局ができ、対局後に互いにアドバイスし合う感想戦で、遠慮せず意見を交換できる風通しの良さも特徴だ。さらに顧問の小松広先生は「先輩が築いてきた伝統を自分の代で途切らせてはいけないという意識が強いと思います」と話す。
大会では好成績を残しているが、結果が全てというわけでもない。一人一人が実力に見合った目標を掲げつつ、何よりまず将棋を心から楽しむ。大橋君は「自分の読んでいた手を相手が指した時が一番楽しい」、礒谷さんは「子供のころから将棋をやっていて、全国に交友関係が広がった」と語る。 (文・写真 小野哲史)