これまでの幼稚園、保育園に加えて、最近は保護者が働いている、いないにかかわらず、幼児教育と保育の両方を受けられる「認定こども園」が増えつつある。神奈川県にある認定こども園「ゆうゆうのもり幼保園」で働く先生に、仕事のやりがいなどについて聞いた。(安永美穂)
◆木村彩絵先生
―この仕事をめざしたきっかけは?
高2の頃、看護師になるか保育士になるかで迷っていたのですが、体験学習で保育園に行ったときに子どもたちと一緒に遊んだのがとても楽しくて、将来は保育士か幼稚園教諭になりたいと思うようになりました。高3のときは月1~2回、ボランティアとして保育園に通い、先生方が子どもたちに教える手遊びなどの研修に参加する姿を見て、「先生になってからも勉強してるんだ!」と驚いたのを覚えています。
―学生時代はどんな勉強をしましたか?
私は短大で2年間学んで幼稚園教諭二種の免許を取得した後に、専攻科(1年間)に進んで保育士の資格も取りました。保育士の資格も取得したことで、小児保健や栄養学の知識も身につけることができ、視野が広がったように思います。これからは私が勤務しているような幼稚園と保育園の機能をあわせもつ「認定こども園」が増えていくことが予想されるので、幼稚園教諭と保育士の両方の免許を取っておくことをお勧めします。
―学んだことで役立っていることは?
短大の先生方からは、ピアノ、手遊び、絵本・紙芝居といった仕事をするうえで必要なスキルはもちろん、「自分から挨拶をする」といった社会人として大切なことも教えていただきました。教育実習の指導をしてくださった先生の「子どもの教育にたずさわる者は、人として子どものお手本にならなければならない」という教えは、今も深く心に刻まれています。
―この仕事のやりがいは?
子どもたちと一緒に成長できることです。私は年長組の担任をしていて、発表会のときにピアノの伴奏を間違えてしまったことがあるのですが、落ち込んでいると、子どもたちが「大丈夫だよ」と私の肩をたたいて励ましてくれたんです。子どもたちの素直さや優しさに触れるたびに心が洗われる気がして、「自分もこうありたい」という気持ちになります。
先生である私が子どもたちに何かを一方的に教えるのではなく、クラスの一員として共に育っていると実感できる仕事なので、とてもやりがいがありますよ。
―この仕事で大変なことは?
子どもたちとは元気よく遊ぶことが求められますし、行事の前などは遅くまで残って準備をすることもあり、体力が必要な仕事です。また、人と向き合う仕事にはマニュアルがないため、どう対応すべきかを自分で考えなければならないという厳しさもあります。保護者の方とコミュニケーションを取ることも大切な仕事なので、部活などで上下関係を経験して、さまざまな立場の人と話をする経験を積んでおくことも役立つと思います。
★男性の先生も活躍中! 国府田 航先生
小さな頃から年下の子どもたちと遊ぶのが好きで、大学に進むときは保育士の資格と幼稚園教諭一種免許が取れる学科を選びました。ゆうゆうのもり幼保園では、4人の男性の先生が働いています。「男性だから」という理由で特別な役割が求められることはなく、子どもに寄り添ったていねいな保育をするという点では男女で変わりはありません。 体を動かすことが得意な人ならダイナミックな遊びをしたり、音楽が好きな人ならギターを弾いたりと、「自分らしさ」を活かして子どもと向き合えるのがこの仕事の魅力です。僕は絵や工作が好きなので、自分が好きなことで子どもたちを喜ばせることができるのはうれしいですね。子どもの成長にはさまざまな人との触れ合いが欠かせないので、男女関係なくいろいろな個性をもつ先生が園にいるというのは大切なこと。子どもの気持ちに寄り添いながら成長をサポートする仕事に興味があるなら、男子もぜひこの仕事をめざしてくださいね!