部室で過去に作った新聞などを手にする部員たち。写真作品が飾られている

韮山(にらやま)高校(静岡)の写真報道部は、第47回全国高校新聞コンクールで最高賞の文部科学大臣賞に輝いた。創部3年で日本一に輝く快挙だ。学校がある伊豆地域など郷土を盛り上げる記事を掲載し、憲法改正といった社会問題にも切り込むなど、意欲的な紙面作りが評価された。 (文・野村麻里子、写真・幡原裕治)

地元愛紙面に込めて

次号の構成を考える部員たち

韮山高校(静岡)の写真報道部は、廃部していた新聞部が写真部に合併する形で2015年に創部した。同校卒業生で新聞部だった顧問の上杉剛嗣先生が14年に赴任したことがきっかけになった。

地元の魅力伝えたい

「韮高新聞」を年3回、速報版「龍城学報」を週に1、2回発行している。モットーは、地域に根ざした新聞を作ること。同校のある伊豆地域は、若者が県外に就職するなどで人口減少が問題視されている。地域の魅力を伝えることで「地元を愛してほしい」という思いを込めている。

年に3回発行している「韮高新聞」

これまで、世界遺産に登録された「韮山反射炉」を外国人に英語でガイドしている同校生徒や反射炉の歴史を伝える施設を取材したり、伊豆半島ジオパークのユネスコ登録に向けての活動を追ったりしている。

ほかにも地元の信用金庫から依頼を受け「まち・ひと・しごと新聞」を発行。三島駅や沼津駅などで駅弁を販売している企業や、キンメダイといった地元食材の土産物開発などを手掛ける伊豆の企業を取材して、どんな思いを込めて商品開発をしているかなど、取り組みを伝えている。

憲法改正をアンケート

社会問題にも切り込んでいる。憲法改正について全校生徒にアンケートを実施。憲法改正をしやすくするべきか、国の戦力の保持を明記するべきか、同性婚を認めるべきか、などについて生徒の意見をまとめた。「75%が同性婚を認めると答えるなど、興味深い結果
が出ました」(部長の石井拓也君・3年)。さらに一橋大学の憲法学者ら有識者へのインタビュー記事を掲載した。

部長の石井君

陸上部に体験入部

速報版では、学校行事や部活動など学校内の出来事を中心に伝えている。石井君は陸上部を紹介するために、1週間の体験入部をして情報収集に努めた。「部員が少ない分、一人一人の仕事の取り組みが大切。一生懸命になって自分自身の役割を自覚することで、人
数の少なさをカバーできます。今後も学校や地域に貢献したり、読者のためになる新聞を作ったりしたい」

上杉先生は、部員に「生徒が学校を盛り上げるという気持ちを大切に。小さなことでも背景がある」と伝えている。「オピニオンリーダーとして学校の在るべき姿を示したり、地域が抱えている問題などに目を向けたりすることを意識するように指導しています」

顧問の上杉先生
【部活データ】  2015年創部。部員6人(3年生2人、2年生4人)。平日は午後6時半まで活動。報道班と写真班に分かれているが、垣根はなく活動している。
第47回全国高校新聞コンクール表彰式にて