大将戦で一本を決めた斉藤

体重無差別の5人制勝ち抜きで争われた男子団体は、国士舘(東京)が決勝で天理(奈良)を1人残しで下し、3年ぶり9度目の優勝を飾った。

練習を今までにないくらいハードに積んできた。「大きい選手はそろっているけれど強くない。朝のランニングの距離を延ばしたり、午後は力の強い大学生と稽古をしたりして、スタミナ強化を図ってきました」(酒井陸・2年)

初戦の2回戦は長谷川碧(1年)、3回戦は安藤稀梧(2年)がそれぞれ3人抜きを演じるなど、試合のたびに殊勲者が替わった。決勝で存在感を示したのは、五輪2大会連続金メダルの故・斉藤仁氏を父に持つ斉藤立(1年)だ。国士舘は、天理の副将として登場してきた個人戦無差別級の覇者・中野寛太(2年)に3人が敗れ、試合の流れは相手に傾いていたが、斉藤は「(生前の)父から教わった」という体落としで中野に一本勝ち。大将戦も豪快な内股で制して、激闘に決着をつけた。

試合後、斉藤が「先輩や仲間が自分までに相手を疲れさせてくれたおかげです」と語れば、酒井も「最後は後輩頼りになってしまいましたが、優勝できて本当にうれしい」と、選手それぞれが支えてくれる人たちやチームメイトへの感謝の言葉を口にした。

ただ、視線は早くも次に向いている。岩渕公一監督は「しつこさがないし、寝技がまだまだ。相手がつぶれたら嫌がることを夏までにできるようにしたい」と選手たちのさらなる奮起を促した。

国士舘の高校3冠へ向けた戦いは、すでに始まっている。

【部活DATA】 1955年創部。部員37人。団体戦では全国高校選手権9回、インターハイ14回、金鷲旗大会9回の優勝を誇る。2000年、10年、15年には高校団体3冠を達成。OBに斉藤仁、鈴木桂治、石井慧など金メダリストを含む多数のオリンピック選手がいる。