東京大学は2月7日、導入3年目となる2018年度推薦入試(100人程度募集)の合格者を発表した。合格者は3年間で最も少ない69人で、導入から3年連続して募集人数に達しなかった。3年間で321校から出願があったといい、東大側は「(志願者の)すそ野は広がっている」としつつも、「(募集人数の)100人はとりたい」と話している。特定分野の才能がある学生などに入学してもらい学部教育の多様化を狙って導入した推薦入試だが、生徒を送り出す高校側とはまだギャップがあるようだ。(西健太郎)

2018年度推薦入試の結果を発表する東大の幹部

志願者は179人。1年目と2年目(ともに173人)より微増したが、合格者は1年目(77人)、2年目(71人)より減った。

合格者のうち女子は29人と42%を占め、例年2割弱にとどまる一般入試より割合が高い。また、関東以外の高校の出身者が44人と63.8%に達した。東大が推薦入試の出願を各高校男女一人ずつに限っていることが影響しているようだ。合格者のうち、高校既卒者は1人だった。

今回、推薦入試の志願があった高校は155校。3年間で一度でも志願があった高校は全都道府県の321校で、全国の高校の15%程度にあたる。「すそ野が広がっている」(佐藤健二・推薦入試委員長)とみている。一方で、「(合格者を)増やしたい。少なくとも100人はとりたい」(福田裕穂理事)という。志願者の少ない地域を訪ね、高校教員に「(推薦入試の)バリア(障壁)は決して高くない」と伝えているという。

募集人数に満たなかった30人程度は、一般入試の合格者を増やして対応するという。

東大は推薦入試の狙いを「特定の分野や活動に関する卓越した能力、もしくは極めて強い関心や学ぶ意欲を持つ志願者を求める」と説明する。推薦入試の選考は実質的に学部ごとに行っている。志願理由書や面接などの結果を総合して選抜し、センター試験の結果(おおむね8割程度の得点が必要)もふまえて合格者を決めた。

6つの科類別に募集する一般入試と異なり、一般入試で入学した学生は、2年生の途中に3年生から進学する学部が決まるが、推薦入試の合格者は、入学時に進学学部が決まる。1・2年生の間はほかの学生と同様、教養学部で学ぶが、進学予定学部の教員による指導や支援も受けられる。

【2018年度東大推薦入試 学部ごとの合格者数】

※学部名の後のカッコ内が募集人数。合格者数の後のカッコ内は志願者数

法学部(10人程度募集) 11人合格(26人志願)

経済学部(10人程度) 4人合格(10人志願)

文学部(10人程度) 5人合格(18人志願)

教育学部(5人程度) 6人合格(11人志願)

教養学部(5人程度) 5人合格(24人志願)

工学部(30人程度) 16人合格(43人志願)

理学部(10人程度) 10人合格(24人志願)

農学部(10人程度) 7人合格(11人志願)

薬学部(5人程度) 3人合格(6人志願)

医学部医学科(3人程度) 2人合格(5人志願)

医学部健康総合科学科(2人程度) 合格者無し(1人志願)

合計(100人程度) 69人合格(179人志願)