大学入試センターは、2020年度から現在のセンター試験にかわり導入する「大学入学共通テスト」(新テスト)の英語のプレテスト(試行調査)を2月13日から全国の高校で実施する。本番の問題構成などを検討するための検証が狙い。プレテストの問題構成は本番の試験にそのまま受け継がれるわけではないが、センター試験から様変わりした出題もありそうだ。(西健太郎)
2020年度から問題刷新
文部科学省は、新テストの英語を2段階で改革する。20年度(21年4月入学者対象)から大学入試センターで作成する英語の筆記試験とリスニング(聞き取り)試験の問題を刷新。あわせて、英語4技能(聞く・読む・書く・話す)を測る民間の資格・検定試験を受験生に受けてもらい、結果を各大学の入試に活用できるしくみを導入する。24年度からは、センターが作成する英語試験はとりやめ、民間試験の利用に一本化する方針だ。国立大学協会は、20~23年度までは、センター作成問題と民間試験の両方を受験生に課す方針を申し合わせている。
実際のコミュニケーションを想定
大学入試センターが2月に実施するのは、20年度からの問題作成の検証のためのプレテスト。全国の高校158校(中等教育学校を含む)で高校2年生6720人(予定)が受ける。
昨年11月に実施された国語、数学など他教科のプレテストでは、問題がセンター試験と様変わりしていることが話題をよんだ。英語の問題も大きくかわりそうだ。大学入学共通テスト全体の方針として「知識の理解の質を問う問題や、思考力、判断力、表現力を発揮して解くことが求められる問題を重視して出題する」としている。さらに英語の「出題のねらい」によると、「実際のコミュニケーションを想定した明確な場面、目的、状況の設定を重視する」という。
発音・アクセント・語句整序は出題せず
具体的には、筆記試験(80分)では「テキストを読み事実や意見等を整理する力、テキストの構成を理解する力、テキストの内容を理解して要約する力等を問う」としている。一方で、センター試験で長年出題されている発音、アクセント、語句整序などの問題は「出題されません」と明言している。資格・検定試験の活用を通じて「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の総合的な評価がなされる方針であることを踏まえたという。プレテストの筆記試験では「4技能」のうち「読む力」を重点的に測るようだ。
本番でも発音、アクセント、語句整序などは出題されないのか。大学入試センターに尋ねると、これまでも発音などを筆記試験で問うことへの意見はあったというが、「本番でどうするかの結論は決まっておらず、試行調査の分析結果次第」という。
音声読み上げ2回→1回、アメリカ英語以外も
リスニング試験(30分)もプレテストで新傾向の出題が予告されている。「複数の情報を比較して判断する力や、議論を聞いて要点を把握する力等を問う」という。音声の流し方も変わる。センター試験では、問題音声が2回読み上げられているが、プレテストでは受験者を2グループに分け、片方のグループは全ての問題を2回読み上げ、もう片方では一部の問題を1回だけ読み上げて結果を検証するという。また、現行試験と異なり、アメリカ英語以外のイギリス人による英語や、英語を母語としない人による読み上げも試行される。
プレテストは2月13日から3月3日まで、各校で行われる。問題は3月中旬に公表される。