大学入試は2020年度から、現行のセンター試験に代わる「大学入学共通テスト」が導入され、英語で民間の検定試験も活用されることとなる。今後の入試で重視される英語の能力について、東進ハイスクールのカリスマ講師・安河内哲也先生に教えてもらった。(構成・安永美穂)

入試は2技能から4技能へ

いよいよ9月。夏休みが終わり、新たな気持ちで勉強に取り組める時期だ。今月は「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの技能をバランスよく伸ばしていく英語の学習法を伝授するよ。

これまでの大学入試は「読む」「聞く」の2技能の能力を測る試験が主流だった。でも、世の中で本当に役立つ英語を身につけるには、4つの技能をバランスよく身につけることが欠かせない。20年度からセンター試験に代わるテストでは、主に「読む」「聞く」の2技能を問う現行のマークシート方式の試験に加え、4技能の能力を測る民間の検定試験を活用しようという議論がなされているんだ。24年度からはマークシート方式の共通試験は廃止され、民間の検定試験に一本化する見通しだ。

実際には20年度を待たずして、既に多くの大学の入試で、4技能の能力をバランスよく測定できる民間の検定試験の結果が活用されるようになってきている。活用の仕方は大学・学部で異なるけれど、それぞれの大学が認定した検定試験で大学が定めたスコアを満たせば、英語の試験は満点と見なされて免除になったり、入試当日の試験の点数に加算されたりといったケースが多い。AO入試や推薦入試では、民間の検定試験で一定のスコアを取得することが出願条件となる場合もある。

検定試験で自分の力を知る

民間の検定試験にチャレンジすることは、高校での英語学習にもメリットがある。例えば、英検(実用英語技能検定)を受験すると、合否だけではなく、4技能それぞれの分野別の得点も通知される。受験することで、自分の得意な分野と苦手な分野が分かるので、バランスよく力を伸ばすための学習計画を立てやすくなるよ。高1・高2のうちから何回か受験しながらスコアを上げていくという取り組み方もお勧めだ。

入試情報は早めにチェック

英語の検定試験は、右上の表に示したもののほかにも、さまざまなものがある。試験の種類や特色については、「英語4技能試験情報サイト」(http://4skills.jp/)でチェックしよう。どの検定試験を入試で認定しているかは大学ごとに異なるので、志望する大学のホームページなどで早めに入試情報をチェックしておくことも大切だ。早いうちから民間の検定試験を受けることを習慣にして、4技能をバランスよくレベルアップさせておけば、志望大学の入試方法が急に変わったとしても慌てずに対応できるはずだよ。

最後に、高校生のキミにぜひ伝えておきたいのは「英語を使うことを楽しんでほしい」ということ。「少しくらい間違えてもいいから使ってみよう」という気持ちで、授業の発表などにも積極的に取り組んでほしい。4技能をバランスよく身につけ、世界中の人と英語でコミュニケーションを取れるようになれば、キミの毎日はもっと楽しくなっていくよ!

 
【安河内 哲也】
やすこうち・てつや 1967年生まれ。東進ハイスクール英語科講師。自らも「学び方」にこだわって、苦手を克服し、英検1級やTOEIC満点などを取得した。能率を重視した勉強法で多くの高校生を志望大学合格へと導いている。英語4技能試験の普及にも取り組む。