コンクール前にはみんなでカツ丼 

――グリークラブの活動は生徒主体で行われているそうですが、幹部のみなさんを中心にどのように組織を運営しているのですか?

部の運営に関しては幹部の役割分担がはっきりしています。部長と副部長は部全体の運営的なリーダー。学生指揮者は曲の練習をどう進めていくかを考える音楽面でのリーダーです。その関連を互いに強めて、たとえば部長たちが日程の計画を立てて、学指揮がその期間中に練習メニューを組み込んでいきます。

よく言っていたのは、「僕たち部長や副部長が額縁を作るから、そこに入れる絵は学指揮が描いてくれ」ということでした。絵を描くにはキャンバスの大きさが決まっていないと描けませんから、それを設定するのが部長と副部長の役割。曲についての具体的な取り組みは学指揮が行います。

あとは縦のつながりと横のつながりを大事にしました。布は縦糸と横糸が入り混じってできているように、この部でも同じ学年同士だけでなく、先輩と後輩の関係も密にコミュニケーションを取ることを心掛けました。コンクールの前にみんなでカツ丼を食べに行ったこともあります。あるホテルに宿泊したときは、従業員の方に「こんなに先輩と後輩の距離が近いグループはないよ」と言われました。

体操と発声練習に時間を割く 

――普段はどんな練習をしているのでしょうか?

6時間授業の日は15時30分に音楽室に集合し、そこから1時間は体操と発声練習を行います。浦高グリーが代々強いのは、体操と発声にそんなに時間を割いているからだと自負しています。体操は柔軟からブレスコントロール練習、体幹トレーニングなど。発声は、普通はウォーミングアップと考えますが、僕たちはそこもレベルアップするための練習と考えています。ですから、小野瀨先生がイタリア留学で持ち帰ったイタリア式発声練習「ベルカント唱法」に基づき、伴奏をつけて色彩豊かに、かつ種類も豊富に入念に行っています。

関東大会後、全国大会までは座禅も取り入れました。歌う上で、もう一度気持ちを整え直そうというのが狙いです。

18時までは曲の練習です。その中で、たとえば課題曲のパート練習、自由曲の合わせ、小野瀨先生に見ていただくなど、その日にやるべきことを明確にし、45分を2コマとか30分を3コマというように時間を配分します。

全体練習は18時で終了ですが、完全下校時刻の21時までは音楽室や部室は自由に使えます。帰って勉強する者もいますし、その日の練習で納得いかなかった部分を自主練習している者もいます。幹部が集まってミーティングを行うのもその時間帯が多いです。

ピアノに合わせて練習
楽譜を確認
発声練習

「マネジメント力が身につきました」

――3年間、合唱をやってきてどんなものを得られましたか?

音楽を通しては、よりよいものを作っていくこと、1回1回のことに全力を注ぐことの面白さややり甲斐です。部長としては、マネジメント力や統率力といった社会に出たときに役立ちそうなものです。ただ、それも仲間の協力なくしては務まらなかったことですから、何よりも仲間が掛けがえのない財産、一生の宝になるような気がしています。

練習中の部員