京都・洛北高校の囲碁将棋部には、日本一の1年生が2人いる。上田可奈子さんは、この夏開催された全国高校総合文化祭(みやぎ総文)将棋部門、岩井温子さんは同囲碁部門と全国高校囲碁選手権でそれぞれ優勝した。ダブルルーキーの素顔とは。(文・写真 木和田志乃)
「正解ないのが楽しい」
岩井さんは漫画『ヒカルの碁』を読んで興味を持ち、小4で囲碁教室に通い始めた。「勝つのが楽しくて」囲碁に打ち込み、小6で全国大会に出場、中3で出場した団体戦の全国大会で優勝した。
現在は週2回、囲碁道場に通い、週1回、プロの棋士に指導を仰ぎ、2週間に1度、近くの大学囲碁部の練習に参加する。家でもネット対局、棋譜並べ、詰碁など研究を欠かさない。日頃から「強くなるために囲碁に関わる時間を増やすよう心がけている」という。
「自分はマイペースであっさりした性格」と言いながらも、対局で劣勢になった時は粘り強くチャンスを探し、できるだけ頑張るという岩井さん。「正解がないところが難しさであり、楽しさ。まったく飽きない」と囲碁に夢中だ。囲碁を通じて年齢、性別に関係なく誰でも仲良くなれるところも魅力だという。
まずは年明けに行われ、大人も参加する京都府女流アマチュア選手権大会3連覇と3月の全国高校選抜大会優勝を目指し、腕を磨いている。
「理詰めで考える」
上田さんは母の手ほどきで将棋を覚え、小3から教室で本格的に習い始めた。初めは面白くはなかったという。しかしすぐに頭角を現し、小3で出場した京都府大会の小学校低学年の部で準優勝。やればやるだけ成果が出るのが楽しく、小・中学生の時の平日は1日3時間、休日はそれ以上将棋を指し、中学時代は毎年全国大会に出場した。
高校受験のために練習を減らしてからは将棋に取り組む時間は少ない。現在は月に2回、日本将棋連盟の研修会に通って研鑽を積む他は、土日にネット対局をし、平日は10~30分ほど詰将棋、棋譜並べをする。今夏は男女混合で行われる全国高校将棋竜王戦でも3位と活躍は目覚ましいが「小中学生の頃の貯金が今の私を支えている」と話す。
「将棋には直観で指す人と理詰めで考えて指す人がいますが、私は後者」だと自己分析する上田さんの目標は通っている研修会で上のクラスに上がることと、来年の大会での2連覇だ。
Q&A
大会のお供はチョコレート
──大会にリラックスして臨む方法は?
上田 将棋で知り合った友だちと会えるのを楽しみにすることと、対局相手をいつも練習対局している相手と思って指すこと。
岩井 負けることを恐れず、したいことをしようと前向きに考えることで、いい緊張感を持つことができます。
──大会に持っていくものは?
上田 チョコレート。DARSのホワイトが特に好き。
岩井 私もチョコレート。お気に入りはガルボです。
──好きな教科は?
上田 数学。理詰めで考えるところが将棋と似ています。
岩井 英語。新しく習得していく感じが楽しい。
──普段、将棋以外に何をしている?
上田 読書、ピアノ。コーラス部にも所属しています。
岩井 ソフトテニス部で週1回活動しています。
──好きな作家は?
上田 綾辻行人さんが好きです。
岩井 上橋菜穂子さん、辻村深月さん、恩田陸さんです。
――好きなミュージシャンは?
上田 AAA、ゆず
岩井 米津玄師、欅坂46、家入レオ
――尊敬する人は?
上田 指導棋士の野間俊克さん。小3から指導し、ここまで育ててくれたからです。
岩井 両親。仲が良いから。
(2017年12月27日12:30)表現を一部修正しました。