文化祭の入場門にこだわりを持つ、埼玉の県立川越高校と県立浦和高校。ともに制作専門の「部隊」を擁し、1年がかりで造る力作は、今年も1万人以上の来場者を魅了した。文化祭前には、初めて両校の制作部隊が顔を合わせ、門造りについて語り合った。
(文・写真 中田宗孝)
1年がかりで制作
高さ12メートルの入場門が来場者を出迎えた、川越高校のくすのき祭(9月6、7日)。今年の入場門は、ロシアのウスペンスキー教会をモチーフにした。
制作したのは文化祭実行委員「門班」の60人。昨年10月から制作を始め、毎週木曜日の放課後2時間と、休日3時間、夏休みのほぼ毎日を制作時間に充てて完成させた。班長の服部斐路(ひろ)君(2年)は「作業の進行に気を配り続けた。絶対に完成させなければならないプレッシャーは、想像以上だった」と振り返る。
一方、浦和高校の浦高祭(9月13、14日)では、安土城を模倣した高さ9メートルの門が登場した。手掛けたのは25人の「門隊」。隊長の山内海人君(2年)を中心に、約1年前から週3日のペースで制作に取り組み、夏休み返上で完成させた。「一番苦労したのは石垣造り。疑似石を千個以上、土台部分に付けました」(山内君)
互いの技術を教え合う
30年の伝統を誇る川越高校門班と、20余年の歴史を持つ浦和高校門隊は8月、初めて交流の場を持った。浦和高校の山内君が川越高校の門班に呼び掛けて実現した。
両校生徒は、予算の節約術やペンキの仕入れ先、制作技術などについて情報交換した。服部君は「浦和高校が得意とする装飾技術を学べた」と手応えを口にした。山内君は「門の内側を造る技術を教えてもらった。今後も交流を続ければ、お互いの門がもっと良くなる。後輩にも続けていってほしい」と語った。