観光甲子園でグランプリに輝いた松江市立女子高校のメンバー

高校生の視点で考えた地域の観光プランを競うコンテスト・第4 回全国高校生「観光甲子園」の本選が8 月26 日、神戸夙川学院大学(兵庫県)で開かれた。最高賞となるグランプリ(文部科学大臣賞)に輝いたのは島根・松江市立女子高校。「自分を変える旅」という斬新なテーマが高く評価され、4年連続出場で初めて悲願の同賞を手にした。(文・写真 松本妙子)

全国の参加76校の中から予選を勝ち抜いた10校が、本戦で地元の名所を巡る旅のプランを発表した。

 

「みなさんは自分のことが好きですか?」。

松江女子高校のプレゼンテーションは、どきりとさせる問い掛けで始まった。

観光プランのタイトルは「Let’s縁きりふれっしゅ~松江ではじまる新しい自分旅」。玉造温泉や宍道湖など松江の名所を訪れて、日頃のストレスなど「悪縁」を断ち切り、リフレッシュして帰ってもらうのが狙いだ。でも男女の「縁結び」で知られる松江で、なぜ「縁切り」?

観光コースの2年生8人でプランを考え始めたのは4月。担任の高橋良子先生に企画提出を迫られても、なかなかアイデアが浮かばない。その時の自分たちの悩みといえば「自分が嫌い」「自信が持てない」。みんなそれぞれに「自分を変えたい」と思っていた。ならば「新しい自分発見」をそのまま旅にしてしまおう。優柔不断、片付けられない……そんな「悪縁」を切り捨てて、縁結びの街・松江で新しい自分に出会う旅。松江のイメージを逆転の切り口で捉え直した。

生徒8人は「縁切り」をキーワードに松江の観光スポットを洗い出した。松江は山陰地方で最も多く霧が発生することから、「縁切り」と「霧」をかけて霧が美しい華蔵寺での座禅体験、八雲ふるさと館でそば打ち(そばを「切る」とかけた)、玉造温泉でデトックス── 1 泊2日のツアーメニューができあがった。

リーダーの渡部瑠美さんは「苦しかったけど、縁切りと霧が結びついたところから一気に企画が進んだ。今まで気づかなかった松江の魅力を知ることができた」と話す。 「厳しい指導だった」と生徒たちが口をそろえる高橋先生も「連続出場のプレッシャーがある中、よく頑張った。松江のために何かしたいという彼女たちの思いが形になった」と、グランプリ受賞をたたえた。