高校生が作ったろ過装置に、小学生が持参した生活排水を注いで実験した(2月10日、慶應義塾横浜初等部=幡原裕治撮影)

小学生2000人以上に授業

環境プロジェクトは、部活や委員会とは別の有志団体。約60人が6班に分かれて環境に関する活動をしている。出前講座を担当したのは教育デザイン班。2002 年のプロジェクト発足以来、メンバーの出身小学校などに出向き、2000人を超える児童に、リサイクルや食などをテーマに授業を行ってきた。

 今回授業を受けた小学生は、慶應義塾横浜初等部の3年生(3クラス)102 人。高校生がクラスごとに分かれて教えた。

クイズ交え「下水処理」解説

「みんながお皿洗いをした時に流した水はどこに行くと思いますか?」。高校生から小学生へのこんな問いかけで授業は始まった。その後、小学生が持参した皿洗い後の水と、泥水をそれぞれろ過装置に入れる実験を実施。生活排水のろ過が難しいことに気付かせるのが狙いだ。ろ過装置は高校生がペットボトルなどを使って作った。

 実験後、下水処理の仕組みや、生活排水が原因で発生するアオコや赤潮による被害について解説。「汚い水を流すと川や海は何色になると思いますか?」などクイズを多く取り入れ、小学生からも質問が多く出た。下水をできるだけ汚さないために自分たちができることを発表してもらった上で、「まずは今日の給食の後でお皿の汚れを拭き取って」と呼び掛けて、授業を締めくくった。

絶対成功へ「150%準備」

高校生は小学生と一緒に給食をとり、放課後に体育館やグラウンドで遊んだ。児童の一人は「クイズがたくさんあって楽しかった」と笑顔で話した。

高校生たちは昨年11月から3カ月かけて準備をしてきた。班のメンバーは放課後、部活などで忙しい。昼休みに集まったり、LINEやスカイプで打ち合わせたりしてきた。リハーサルは校内で3回、初等部の先生を前に1回実施。そこで出た助言を受けて、授業内容を一部つくり変えた。

 リーダーの平田英子さん(2年)は「150%の準備をしないと100%の授業はできない。絶対成功させようと思い、寝る間も惜しんで準備してきました。子どもたちに『よかった』と言ってもらえてうれしかった」と話した。

(西健太郎)