練習では、自分の体重以上のバーベルを何度も持ち上げる

 

創部3年目ながら関東選手権や全国大会で実績を残している塩山(山梨)ウエイトリフティング部。男子部員に交じって奮闘したのが女子部員の新川百音と前田あすか(ともに3年)。今夏、全国高校女子選手権(7月19日、愛媛)と関東選手権(8月21〜23日、埼玉)でそろって表彰台に上った。(文・写真 茂野聡士)

中学時代まで体操部だった新川の階級は48キロ級。兄の影響で幼少のころから競技に打ち込んできた前田は63キロ級。2人は週6日の練習で、男子に交じってバーベルを何度も持ち上げる。

 練習のポイントについて太田広之監督は「正しいフォームを徹底するのが大切です」と話す。地面に置かれたバーベルを一気に頭上まで持ち上げるスナッチ、肩まで一度引き上げてから頭上に持ち上げるクリーン&ジャークの2種目の合計点数で成績が決まる。「体全体の力を効率よく伝える」(新川)ことを意識し、2人は日々、互いのフォームをチェックし合った。

厳しい状況で実力発揮

 その成果が出たのは今夏の2つの大会だ。新川は「約2キロの減量のために、2週間前から炭水化物を制限しました」と極限まで肉体を追い込んだ。大学生や社会人も参加する関東選手権ではスナッチ65キロ、クリーン&ジャーク72キロの大会新記録で優勝。全国高校女子選手権では、優勝者とわずか4ポイント差の141点で2位に輝いた。

 前田は、両大会を前に「ひじや腰などに故障を抱えていました」というが、本番では着実に成功を重ね、ともに3位だった。

 前田は今年度で競技生活にピリオドを打つ。新川は競技を続ける予定だ。卒業後の進路は違うが、「階級は違っても、いい刺激を受けました。お互いがいたからこそ、この結果が残せたと思います」と声を合わせた。

前田あすか(左)と新川百音

TEAM DATA
 2012年同好会設立、13年部に昇格。部員数は男子8人、女子2人。太田監督は高校時代に全国選抜、インターハイ、国体の3冠を制覇した。男子部員には、今年の関東選手権男子56キロ級で準優勝の風間秀樹(3年)がいる。部訓は「目標・燃焼・感謝」。