自転車界の新星がアジアを制した。3月にインド・ニューデリーで開かれたアジア・ジュニア自転車競技選手権。原井博斗(福岡・祐誠3年)=福岡・諏訪中出身=が、個人ポイントレース(15㌔)と4㌔団体追い抜きで優勝した。8月にロンドンで開かれるジュニアトラック世界選手権に向け、疾走を続けている。(文・写真 南隆洋)
アジアの頂点へ一気に駆け上がった。個人ポイントレースでは前半に力をセーブ、中盤以降に爆発力を見せ、ポイントを重ねて外国勢を振り切った。昨年の国体での4㌔速度競走優勝、今年1月のユースオリンピックフェスティバル(オーストラリア・シドニー)4㌔団体追い抜きでの銅メダルに続く栄冠で、周囲の期待も高まっている。
小学生の時、福岡・久留米競輪場のイベントに参加して、自転車に夢中になった。中学時代から、祐誠の自転車競技部総監督の手島又喜さん(72)(今年3月同校退職)の指導を受け続けている。
「1秒でも多く乗った者が勝ちだ」 祐誠を全国高校総体(インターハイ)で全種目入賞や総合優勝へ導き、プロ競輪選手81人を育てた手島さんは、選手にこの言葉を繰り返す。 毎日の基本メニューは、自転車で200~400㍍ダッシュを5回、1000㍍を5回、4000 ~ 6000㍍を2回。あらゆる種目をこなせる「短距離で持続力、長距離で瞬発力」のある選手を育成する。
原井の朝は11㌔の山道上りから始まる。夜は自宅で自転車を固定しての室内練習に励む。さらに1日1000回の腹筋、ベンチプレスもこなしてきた。空き時間にはインターネットの動画サイトで、世界の有名選手のフォームや試合運びの研究も怠らない。
1年生の初め、全日本ジュニアの強化合宿に自費参加して、修得した練習法を地元に戻って反復し続けた。スタミナとパワーを増し、その年の秋には強化指定選手に選ばれた。
身長168㌢、体重65㌔、太もも回り54㌢。「まだまだ筋力もスピードも足りない」と自らを戒め、部の先輩たちの助言に耳を傾け懸命にペダルを踏む。目指すは「五輪でメダル」だ。