女性の体や生理、妊娠について、男子高校生はどれくらい理解している? 1月、男子校のサレジオ学院高校(神奈川)で生理や妊娠をテーマにした授業が行われた。タブー視されることもある性の話題だが、男子高校生の気持ちはどう変化したのか。(文・写真=椎木里咲)

男子生徒180人に性教育

「妊娠検査薬ってどんな仕組みなんですか?」

「出産のときに一番大変なことってなんですか?」

「避妊具を付けていても妊娠の可能性はありますか?」

サレジオ学院高校の2年生を対象に行われた性教育特別授業

サレジオ学院高校の2年生180人を対象に、2回に渡って産婦人科医による性教育の授業が行われた。「女性の健康問題を男性が理解すること」を目的に行われたこの授業で、生徒たちは女性の月経や妊娠の仕組みなどについて学んだ。

1回目は男女の身体の仕組みや妊娠の流れについて解説。続く2回目は、前半で1週目の授業を受けて生徒から寄せられた疑問に答え、後半にディスカッションを行う形で展開された。

母親に「生理について聞いてみた」

ディスカッションのテーマは「男性に求められる行動とは。生理の話題をタブー視する現状」 「若い人たちの性、生に関する知識は十分なのか。性教育のあり方」の二つ。それぞれ代表生徒3人が壇上に上がり、授業を担当した産婦人科医の善方(よしかた)裕美先生と話し合いを重ねた。

代表生徒によるディスカッションの様子

「母や姉を見てなんとなく『生理の日なんだろうな』と分かるけれど、直接は聞けない」「日本は生理について『隠そう』としたり、『恥ずかしいもの』とされていたりする傾向があると感じる」と、代表生徒はそれぞれ思いや意見を述べた。

それに対して善方先生は「『察してあげよう』という気持ちを持つこと自体が大切」「『隠そう』とする現状は女性側も変わっていかなければいけないポイントだ」などと展開。中には1週目の授業を受けて、母親やきょうだいに生理について聞いてみた生徒もいて、「生理中は気遣ってくれるとうれしい、と言われました」という。

最後には代表生徒以外も手を挙げて発言。「性行為の同意について、相手が年齢を偽られてしまったら? 男性側が対策できることはあるか」など、ディスカッションは盛り上がりを見せた。

性の知識は「知らないといけないこと」

授業を通して、2学年の担任の一人・染谷諒先生は生徒に変化が見られたと話す。「自ら家族に生理について尋ねるなど、これまでの性に関する知識から、一歩踏み込んで成長したと思います」

授業後のアンケートでは、生徒から「性の知識を持つと、人が性別問わず共に支え合えるようになる」「男女関係なく相手に寄り添うには、正しい知識をもって、恥ずかしい気持ちを少しずつでもオープンにしてくことが大切」といった感想が寄せられた。

今回の授業は宝島社のフェムテック・フェムケア啓発プロジェクトの一環で行われた。女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス、「フェムテック」の認知度向上を通じて、長らくタブー視されてきた女性の健康問題について話す機会を増やすことで、男女に関係なく生きやすい社会を目指している。

善方先生は「このような授業があると、家族や友達と性について話しやすくなる。男性側から前向きに『どうしたらいいのか』を考えてくれることがうれしい」と笑顔で語った。