「学校推薦型選抜」は、主に指定校制・公募制の二つに分かれる推薦入試だ。何を問われる入試でどんな対策をすればよいのか、押さえておきたいポイントを早稲田塾の中川敏和さんに聞いた。(安永美穂)

指定校狙うなら積極性が肝心

―学校推薦型選抜は2種類ありますよね。

校内選考により推薦される人が決まる「指定校制」と、出願基準を満たした人が学校長の推薦を得て出願する「公募制」の2種類があります。選考方法は、書類審査や面接審査など大学によりさまざまです。

―指定校制の場合、校内選抜を通過すればほとんどの場合は合格できますよね。校内選抜の必要な対策を教えてください。

指定校制の校内選抜では、高1から高3までの評定平均のほかに、部活や生徒会などの活動実績、生活態度などが総合的に評価されます。評定が高い生徒同士の勝負となることが多いため、日頃から先生に積極的に質問をしたり、部活や生徒会などに積極的に参加したりして、「高校を代表する生徒」として推薦するに値すると思われる態度で過ごすことが重要です。出席状況も判断材料の一つになるため、やむを得ない場合を除いては遅刻や欠席をしないことも心がけましょう。

公募制と総合型選抜の違いは?

―「公募制」と「総合型選抜」の違いがよくわかりません。

総合型選抜は大学が求める人物像と受験生のマッチングを重視するのに対し、公募制では高校3年間の成績や活動に基づいて入学の適性が判断されます。主な違いは次の通りです。

公募制と総合型選抜の違い

課外活動は目的意識や工夫が大事

―学業以外で必要になる課外活動の実績は?

部活や生徒会活動、ボランティア活動などの実績は評価対象になることがあります。公募制では、出願条件として英語資格試験のスコアの基準が設定されていることがあるため、計画的に受験しておくとよいでしょう。

■大学入試で役立つ英語資格試験

  • 英検…採用大学が最も多い。結果をスコアで表示する「英検CSEスコア」を出願条件にしている大学もある。
  • IELTS(アイエルツ)…海外留学や海外移住申請の際、英語力を証明するのに有効なテスト。
  • TOEFL(トフル)…海外大学(主に米国)の大学への留学及び入学のために作られたテスト。
  • TOEIC(トーイック)…英語が母国語でない人たちの英語力を測るために作られたテスト。

―部活で役職など目立った活躍をしていないとアピールになりませんか?

「こういう活動をした」という事実のほかに、「このような目的意識を持って取り組んだ」「活動の過程でこのような工夫をした」ということを書類や面接などでアピールできると高評価につながりやすくなります。活動の目的や自分が果たした役割を明確に説明できれば、部長などの役職に就いていなくても心配する必要はありません。

頑張れてない人も諦めるのは早い

―高1の頃は学校生活をあまり頑張れなかった人、すでに評定平均があまり良くない人は、学校推薦型選抜は諦めた方が良いのでしょうか?

高2からリカバーが可能なケースもあるため、早々に諦めてしまうのではなく、学校推薦型選抜にチャレンジすることを視野に入れて日々の生活を見直してみましょう。評定平均を上げるほかにも、課外活動で自分の興味・関心を追究する“とんがった”活動に取り組むなど、高い意識を持って高校生活を送ることが大切です。

「高1のときはあまり頑張れなかったけれど、大学でこういう研究をしたいという夢を見つけて、高2からはこういう自分に変わることができた」と説明できれば、公募制の面接で高い評価を得られる可能性は十分にあると言えるでしょう。

学校推薦型選抜のスケジュール例
【指定校制】
校内選抜(主に夏~9月ごろ)

大学へ出願(11月1日以降)

選考…面接審査、小論文、講義理解テストなど

合格発表(12月1日以降)

【公募制】
出願(11月1日以降)

一次選考…書類審査(志望理由書や活動報告書など)

二次選考…面接審査、小論文、講義理解テストなど

合格発表(12月1日以降)

■総合型・学校推薦型の代表的な選抜方法

  • ①書類審査

  • 志望理由書…志望大学で学ぶ意義と、その大学で学ぶ適性や学習意欲を記した書類。
  • ポートフォリオ、活動報告書…今までの経験や活動、資格などをもとに自分と大学のマッチングをアピールする。
  • 調査書…高校3年間の学習記録や生活記録が記された高校から発行される書類。
  • ②英語資格試験

  • 出願条件や判定条件に、英検、TOEFL、TOEICなどの民間資格試験を採用している大学も多い。
  • ③小論文

  • 課題論述型…与えられた課題について分析し自分の意見を述べる。
  • 文章読解型…文章を読みながら筆者の意見を読み取り、それに対する自分の意見を論述。
  • 資料分析型…表やグラフが提示され、その問題点や解決策を論述する。
  • ④面接

  • 質疑応答形式…個人形式、グループ形式の2種類。志望理由書やポートフォリオの内容質問や所作を見られる。
  • グループディスカッション形式…受験生数人でテーマに沿った討論を行う。
  • 口頭試問形式…文系学部なら文章を読み内容に関する質問、理系学部なら数学や科学の問題の解説を求められることもある。
  • プレゼンテーション形式…テーマが与えられ当日までに資料を作り発表する。

中川敏和さん なかがわ・としかず 早稲田塾 執行役員・本部長。1997年から東進、早稲田塾で一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜など、さまざまな大学受験指導を25年間行う。受験生の娘をもつ父親でもある。