文化祭で演劇を上演するクラスも多いのではないだろうか。脚本をそのまま使用したり、改変したりすることは著作権侵害にあたる? 演劇を上演するにあたって知っておきたいポイントを、学校著作権ナビゲーターの原口直さんに聞いた。(安永美穂)

この記事のポイント

・脚本をそのまま使用する場合、「3つの条件」を満たせば著作権者への許諾は不要

・「改変」は著作権者の気持ちを汲んで

・著作物を「利用させてもらっている」立場であることを意識して

学校での著作物の利用

こちらの記事でお話ししたように、「作品は作った人のものである」ことを示す権利が著作権です。ただし著作権法においては、学校の「授業内」で著作物を利用する場合は、無許諾かつ無償で使用することが例外的に認められています。その際も使用方法によっては著作権侵害にあたることもあるため、注意が必要です。

3つの条件を満たせば許諾は不要

―既存の脚本を改変せず利用する場合、作者へ許可を取る必要はありますか?

「入場料をもらっていない」「出演する人に報酬を支払っていない」「営利を目的としたものではない」という3つの条件を満たしていれば、作者に許可を取らずに上演することが可能です。

既存の脚本を利用できる3つの条件

劇の練習をするために脚本をコピーする際は一般的には著作権者の許諾が必要となりますが、学校の「授業」にあたる文化祭は例外の扱いとなり、著作権者の許諾は不要とする考え方もあります。判断に迷うときは著作権者に確認するとよいでしょう。

改変は著作権者に確認を

既存の脚本からセリフや結末を変更することや、既存作品のキャラクター設定のみを利用して新たな作品を作ることは著作権侵害にあたりますか?

基本的に著作物を著作者の許諾なしに改変することは著作権侵害にあたります。改変を行う場合は、著作権者の了解が必要です。

判断に迷う場合は、著作権者に確認しておくとよいでしょう。あくまで利用者側は「著作物を利用させてもらっている」立場であり、著作権者の権利を尊重するという姿勢が重要です。

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原口直(はらぐち・なお)さん 
学校著作権ナビゲーター、東京学芸大こども未来研究所教育支援フェロー。学校の著作権について解説するウェブサイト「原口直の学校著作権ナビ」(https://maruc.work/)、「原口直の一歩先ゆく音楽教育」(https://makiba.work/)を運営。学校を訪問しての出前授業や教員研修も実施している。