医師、看護師、臨床検査技師など、「病院で働く仕事」っていろいろありますよね。しかし、あまり知られてない職業もあるのです。今回は、病院で「医療ソーシャルワーカー」として働く母に仕事内容についてインタビューしました。(高校生記者・夕陽=2年)

患者さんが日常生活に戻るサポート

―具体的な仕事内容を教えて。

主に患者さんの退院に向けて、社会福祉の立場からさまざまな調整をする仕事だよ。医療費、助成制度、経済的な心配などの相談にのったりもする。患者さんによっては治療費が用意できないとか、仕事に戻れるのかだとか、不安や悩みがある人がいるからね。

相談のスケジュール管理をする手帳

―患者さんやその家族が日常生活に戻れるよう、問題解決の手助けをするんだよね。他の職種の人と仕事するの?

そう。病院で、医師や看護師、理学療法士など多職種の人と連携して行うよ。業務はいつも一定というわけでなく、その日によって面談をしたり、カンファレンス(患者さんに関する情報を担当者たちが報告しあい協議すること)や記録業務、電話業務をしたりするよ。

喜んだ顔を見るとうれしい

―この仕事のやりがいを感じる瞬間は? 具体的なエピソードとともに教えて。

さまざまな問題や病状を抱えた患者さんの退院がスムーズに調整できた時かな。以前、退院後の生活にすごく不安を抱えた患者さんがいて、その人の問題を解決して、退院させてあげられた時はうれしかったなぁ。

記録業務をするパソコン

―この仕事の厳しさ、大変なところはどんなところ? 具体的なエピソードも教えて。

多職種の人との意見の食い違いかな。医師と意見が食い違ったときは、なかなか話がまとまらなくて大変だったよ。聞き上手な人や自分で判断をする能力がある人がこの仕事に向いていると思う。

―仕事の魅力は何だと思う?

患者さんや患者さんの家族の人の喜んだ顔が見られることかな。やっぱり、喜んでもらえるとうれしいよね。

コミュニケーション力が大事

―この仕事を目指した時期と、目指そうと思ったきっかけは?

目指したのは高校3年生の時。きっかけは、自分は医療系の仕事に就きたかったんだけど、あまりちゃんと「これ」だと決まってなくて、そんな時に福祉の面からも患者さんをサポートできるこの仕事があるのを知って、憧れを持ったことかな。

―医療ソーシャルワーカーは資格がいるよね。

「社会福祉士」、精神科病院で働くなら「精神保健福祉士」という国家資格をとることが一般的だよ。大学や専門学校などに通って、決められた科目を学び、国家試験に合格しないといけないんだ。

―この仕事に就きたいなら、資格のための勉強ができる学校をちゃんと調べて選ばないといけないね。ちなみに、患者さんと円滑にコミュニケーションして、悩みや不安を解決する……その技術をどう身につけたの?

学校というより実際に仕事に就いてから患者さんと話す経験を重ねたことで身についたかな。

―この仕事をする上での技術は何が必要?

やっぱり、コミュニケーション能力かな。患者さんとたくさん話すから。あと、傾聴する力だな。

―仕事は将来、どんな風に変わっていくと思う?

最近はAIがやったり機械化が進んだりしている仕事があるようだけど、医療ソーシャルワーカーの仕事は患者さんとお話ししてコミュニケーションをするから機械化できる業務もあまりないと感じるし、大きくは変わらないと思うなぁ。

―この仕事を目指す高校生がいまやっておいたほうがよいことは?

いろいろな人と話してコミュニケーション能力を身につけること、状況に応じた判断をできるようにしておくことかな。

【取材後記】患者の気持ちに寄り添う仕事

これほど深く母の職業について聞いたことがなかったので、改めて母の仕事を知ることができて良かったなと思いました。医療ソーシャルワーカーという職業を知って、「私もなりたい」と思ってくれる人が増えたらうれしいです。

私も将来医療系の仕事がしたいなと思っているので、母のように、患者さんの気持ちに寄り添った医療を提供できるように努力する医療従事者になりたいなと思います。