第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「地理B」の問題分析は次の通り。

― 多様な資料が扱われ、基本的な知識をもとに深い理解が求められた。難易は昨年並 ―

地図や統計表、工夫されたグラフなどを含む多様な資料が用いられ、図表読解力と地理的思考力が問われた。第3問と第5問では探究活動の場面設定で大問が展開された。一部資料の読み取りに時間を要する設問がみられた。地理的な知識を用い、事象を考察する力が問われた。難易は昨年並。

大問数・解答数

大問数5は、昨年から変更なし。解答数は、昨年の31個から変更なし。第5問が地理Aとの共通問題。

出題形式

地図、統計表、工夫されたグラフなどほぼすべての設問において、多様な資料が扱われた。また、昨年同様、複数の情報の組合せも多く出題された。解答形式では、4択や6択のほか5択が出題されたが、昨年みられた8択の問題は出題されなかった。

出題分野

「自然環境と自然災害」「資源と産業」「日本の人口や都市をめぐる諸問題」「インドと中国の地誌」「利根川下流域の地域調査」からの出題構成。地誌の大問は昨年同様に1大問であったが、大問を通して、インドと中国の地理的な連続性も扱われた。

問題量

大問数、解答数、ページ数は昨年から変更なし。全体的な問題量は昨年並。

難易

昨年並。

大問別分析

第1問「自然環境と自然災害」 (20点・標準)

自然環境と自然災害について、概ね標準的な内容を中心に出題された。問6は日本の都市内を流れる小規模な河川を題材とした問題。降水量と河川の水位の変化を示した模式図の意味を丁寧に読み取ることがポイント。都市化が生活環境に与える影響について、考察する力が要求された。

第2問「資源と産業」 (20点・標準)

資源と産業について、農牧業を中心に問われた。ヨーロッパの村落の模式図やグラフ、分布図など多彩な図表から考察する問題で占められた。問5はフランスとポルトガルにおける輸出額と輸出量を判別する問題。輸出品の違いや2か国の国土の違いを手がかりに考察することで正答を導くことができた。

第3問「日本の人口や都市をめぐる諸問題」 (20点・標準)

人口や都市をめぐる諸問題について、なじみの薄い統計データが複数用いられた。問5は少子高齢化に伴う労働力不足について、従属人口指数を指標として日本の推移を判断する問題。なじみのない指標に戸惑った受験生も多かったであろうが、指標の意味を読み取ったうえで、各国の人口動態の特徴を想起することで判断できる。統計がどのように図に表れるかをイメージすることが要求された。

第4問「インドと中国の地誌」 (20点・標準)

インドと中国について、土地利用や農業生産、環境問題といった各分野から比較して問われた。図表が多く用いられているが、問われている内容はオーソドックスなものであり、2か国の工業化や経済成長の変化を理解していることがポイントであった。問2はインドと中国の行政区と、作付総面積に占める小麦と米の割合の関係を考察する問題。米と小麦の栽培条件から判断できる。扱われている内容は標準的であるが、図の読解に時間を要したと思われる。

第5問「利根川下流域の地域調査」 (20点・やや易)

利根川下流域について多彩な資料が扱われ、資料を読み取る地理的技能や見方・考え方が問われた。複数の資料を用いて判断する設問が多く出題されたが、資料を丁寧に読み取れば、正答の根拠をみつけることができ、受験生にとって取り組みやすい内容であった。問6は探究課題について適当な調査方法を判断する問題。仮説と調査方法の関係を論理的に考える必要があった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2022年度 58.99点
  • 2021年度 60.06点
  • 2020年度 66.35点
  • 2019年度 62.03点
  • 2018年度 67.99点

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