「キンプリ」こと、ジャニーズグループの「King&Prince」のメンバーから、3人の脱退が発表されました。キンプリは私にとって、ジャニーズを好きになるきっかけをくれたグループです。キンプリからもらった数え切れないほどたくさんの感動は、記憶に深く刻まれています。まだ悲しみから立ち直れない方へ、この記事でほんの少しでも前を向くお手伝いができれば幸いです。(高校生記者・伊織=2年)

脱退のニュースに「胸を突かれる思い」

キンプリメンバーの平野紫耀さん、神宮寺勇太さん、岸優太さんの脱退・退所のニュースが出たとき、キンプリのファンやジャニオタだけでなく、多くの方が衝撃を受けたと思います。私自身、あの日の胸を突かれるような感覚がまだ生々しく残っています。

宇佐見りん著『推し、燃ゆ』。書き込みをしながら、何度も読み返している

そのニュースを見たとき、私が真っ先に思い浮かべたのは、宇佐見りんさんの芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』でした。この作品の主人公は、推しについて「中心っていうか、背骨かな」と話します。ニュースを目にしたとき、「今この瞬間、『背骨』をごっそり抜き取られた感覚になっている方がいるのではないか」と思うとたまらなくむなしく、胸が張り裂けそうでした。

彼らの決断と覚悟にリスペクトを

一方で、脱退・退所を決意したメンバーたちの気持ちも、痛いほど理解できました。私は今年の夏、起立性調節障害が悪化し、通信制高校への転校を経験。新しい環境に飛び込む不安、憧れの第一志望だった高校から転校することの未練が入り交じり、何カ月も悩みました。それでも踏ん切りをつけられたのは、漫然と同じ場所にとどまっているのではなく、新しい環境に飛び込んでみようと覚悟を決め、前を向けたからです。

キンプリのグッズとDVD。見ると元気が出るものばかり。これからも大切にしていきたい

もちろん、私が抱いていた葛藤と、キンプリのメンバーが抱く葛藤は、決して比べられるものではありません。しかし、その経験があったからこそ、メンバーの方たちがどれほど悩み、葛藤して決断されたのかが想像できました。そして、その決断がどれほどの痛みを伴うのかも、彼らがかなえたい夢がどれほど大きいものであるのかも、ひしひしと伝わってきました。私は、その覚悟に、決意に、心からのリスペクトを贈りたいです。

寂しさは消えない、でも……

私は、ジャニーズに青春をささげた彼らが「脱退・退所」という決断をしたことの重みと覚悟を、真っすぐに受けとめたいと思います。私自身、「5人のキンプリ」がなくなることへの寂しさは、まだ拭えません。しかし、平野さん、神宮寺さん、岸さんがこれまでキンプリとして積み上げてきたものが、消えてなくなるわけではありません。

これまでのキンプリのすてきな楽曲や出演作品の数々、彼らからもらったたくさんの感動の全てが、否定されるわけでもありません。私は、そのひとつひとつを大切に記憶に収めて、3人の新たな船出を見守りたいです。そして、残りの時間、「5人のキンプリ」が創り上げる唯一無二のエンターテインメントを、一人のジャニオタとして楽しみたいと思います。