文化祭は、高校生活における一大イベント。クラスで企画・出し物を決める時期になっても、企画がマンネリ化していたり、一部の人だけに負担がかかってしまったり……といった悩みもあるようだ。高校生から寄せられる悩みに対し、高校文化祭研究家の清水広志さんが、アドバイスをしてくれた。(構成・平野さゆみ)

目的を共有しよう

悩み
クラス企画がスムーズに決まりません……。

ほとんどの場合は多数決で決めると思いますが、十分な議論もせず、いきなり決を採るのは好ましくありません。敗れた側が、やる気をなくしてしまうからです。

対立を最小限に抑え、クラスの一体感を保ったまま準備に入るためには、まず「何のために文化祭を行うのか」という目的を話し合い、共有しておくことが大切です。

その上で企画を話し合います。事前にインターネットなどで調べ、企画例を20件程度リストアップしておきましょう。議論が進み、企画案をいくつかに絞ったら、企画書を作ります。そして、企画の全体像をみんなで共有した上で採決する。こうすると、後で「自分がイメージしていたものと違う」といったクラス内での認識のズレが生じにくくなります

意見は否定しない

悩み
毎年同じ企画が続いてマンネリ気味なのですが……。

企画のジャンル自体は、毎年同じでも問題ないと思います。大事なのは企画のジャンルではなく、中身。ジャンル決めで悩みすぎず、「中身をいかに素晴らしいものにするか」に時間とエネルギーを使いましょう。

悩み
企画の独創性や斬新さを出すには、どうすればよいですか。

出てきた案を「できるはずがない」「不真面目だ」などと頭ごなしに否定しないことです。場所・予算・時間的に実現可能か、安全か、といった点をチェックするのは案が出た後でいい。それに、実現不可能に思えても、誰かが解決策を知っているかもしれません。

企画の「見せ方」も大事です。展示発表なら、模造紙に蛍光ペンで文字を書く。教室内を暗くしてブラックライトを当てると暗闇に文字だけが浮かび上がり、ひと味違った雰囲気になります。美術館風の豪華な装飾を施した教室が実はお化け屋敷だった、といった意外性を狙うのもいいですね。

何らかのパフォーマンスをするなら、校舎の外や校門付近で行うと注目度が高まります。特にお笑い系の寸劇などに向く方法です。

休む日は届け出制に

悩み
準備に協力的でない人がいます……。

それぞれ事情があるはずなので、強制はできませんよね。でも、黙って帰るとサボりと見なされ、クラスの雰囲気も悪くなりがち。そこで、参加できない日は事前に届け出てもらいましょう。「事情があるのは仕方がない。できる時にできることをしっかりやってね」というスタンスだと、摩擦も減らせるはずです

一部を見せて引きつける

悩み
クラス企画にたくさん人を呼びたい。よい宣伝方法はありますか?

「企画の一部を見せること」です。展示発表なら冒頭部分だけを廊下に掲示する。目にした人が「面白そう。続きを見たい」と思って教室に入ってくれれば成功です。演劇なら劇中の衣装のまま、宣伝用の看板を持って校内を歩き回る。さらに、廊下に設置したモニターに、最も盛り上がる場面の映像を一部だけ映すなど、「さあ、この先どうなるか?」という予告編を作って興味をかき立てます。

 在校生には準備段階からアピールします。教室の前に、企画の進捗状況やみんなの頑張り具合を毎日張り出し、「あのクラスの企画はすごそうだ」という前評判を立て、来場者アップを狙いましょう。

【しみず・ひろし】 18歳から高校の文化祭見学を開始。これまでに39都道府県、延べ1100校以上の文化祭を訪れている。