高校文化部の精鋭が全国から集う第46回全国高校総合文化祭東京大会(とうきょう総文2022)が7月31日に開幕した。東京国際フォーラムで行われた総合開会式では、東京の高校生たちが合唱やオリジナルミュージカルなどを披露した。大会は8月4日まで演劇、吹奏楽など23部門に分かれて開催され、生徒たちが日ごろの練習の成果を発表する。(文・椎木里咲、写真・幡原裕治)

東京で初開催、クイズで会場と一体に

全国高校総合文祭は都道府県持ち回りで開かれており、東京での開催は初めて。今大会のテーマは「江戸の街 光織りなす文化の花」。総合開会式では、47都道府県の代表生徒と23部門の代表生徒が壇上に登場。青山高校(東京)と国立高校(東京)の生徒で編成された音楽隊が奏でる音楽にのせて、一人ずつ名前が紹介された。

とうきょう総文のマスコットキャラ「ゆりーと」(左)とかごしま総文のマスコットキャラ「かごまる」

来年の開催地となる鹿児島の生徒と東京の生徒による交流も実施。三択クイズを通して互いの地域を紹介した。舞台上の画面に問題が映され、来場者はうちわを掲げることで回答。コロナ禍で声を出すことが難しい中、会場を巻き込んで楽しませた。

クイズで会場を巻き込み楽しませた

ミュージカルで「コロナ禍に負けない」メッセージ伝えた

東京の高校生がオリジナルミュージカル「6時間目が、国語。」を発表。物語冒頭では、ミュージカルの演目「キャッツ」、バレエ、オタ芸など、音楽にのせて生徒それぞれの「好きなこと」を披露。明るく見えても、心の内では友人関係や自身の立ち振る舞いなど悩みを抱える生徒たちが、「自分らしさ」を見つけていく。

ミュージカルの「文化祭ができると信じよう」と結託する場面

物語にはコロナ禍の状況も取り込まれた。さまざまな行事がなくなり、目の前に迫った文化祭にもウイルスの魔の手が及ぶ。もやもやとした気持ちを抱える生徒たちだが、ラストには「コロナ禍でも、今だからできることを考えよう」という前向きなメッセージを届け、会場から割れんばかりの拍手を浴びた。

コロナ禍の中、約1年半の練習を重ねた

「自分たちの手で青春を作る」強い意志で臨む

生徒実行委員会は、既に卒業した生徒を含め5年間かけて準備を行ってきた。実行委員長の佐久間アクセル海樹さん(東京・西高校3年)は、開会あいさつでコロナ禍における高校生活について思いを語った。

生徒実行委員長の佐久間さん

「この3年間、部活動や学校行事が中止、もしくは縮小されたことと思います。お弁当時の黙食など、人との会話や交流自体が減っています。それをコロナ感染拡大防止のためだと受け入れるのか、それとも『青春を奪った』のだと行き場のない憤りをぶつけるのか、人それぞれ違うと思います」

華々しく総文がスタートした

続けて、「私はコロナ禍だからイベントが中止や縮小になっても仕方がないと諦めるのではなく、コロナ禍だからこそ私たちの創造性を存分に発揮し、何ができるのか模索しながら、自分たちの手で青春を作っていく必要があるのだと思います。今こそ受け身ではなく主体的に行動し、高校生という限られた時間の中で、私たちの力を合わせて悔いのない総文祭にしましょう」と、総文祭への意気込みを力強く語った。