「高校生クイズ」全国大会出場をはじめ、数多くの競技クイズの大会で好成績を残してきた埼玉・栄東(さかえひがし)高校クイズ研究部。昨年度も「東大王クイズ甲子園」「エコノミクス甲子園」で、それぞれ優勝を成し遂げ、実力を存分に発揮した。どのようにクイズ力を磨いているのか、大会優勝メンバーの部員たちに語ってもらった。(文・写真 中田宗孝)

ネット上で早押しクイズ

「高校生クイズ」「東大王クイズ甲子園」など数多くの大会で活躍する“クイ研”の強豪として知られる。コロナ禍の現在、部員たちはオンラインでも活動している。ネット上で集まり、早押しクイズなどに励んで日々腕を磨く。

会長の笠井さん(中央)、部長の稲葉君(左奥)と佐々木君。会長は、部の監督を務める先生と活動方針などを話し合う役割を担う

「スマホ版単語カードのような『Quizlet』というアプリを登下校中にやっています」(部長の稲葉琉晟君・2年)、部員の佐々木遼君(3年)は「Q.チョコレートの語源は? A.苦い水」のような問題が出題される「語源クイズをよく解いていました」。個人練にもそれぞれ勤しみ、地力をつけている。

「まわりからは強豪校と見られることもありますが、部員個々のクイズ力はまだまだだと感じています。部としても個人としても、より高みを目指していきたい」(稲葉君)

下校中にクイズ出題者の声を聞く

クイズの力を伸ばすために、問題文を目視して覚える部員もいれば、問題を写経のようにひたすら書いて体に染み込ませる部員もおり、さまざま。

部の会長を務める笠井虹来さん(3年)は、クイズを「音」や「映像」で記憶するタイプのプレイヤーだ。

競技クイズで全国レベルの実力を持つ3人。稲葉君(右)は、昨年出場した「高校生クイズ」全国大会1回戦敗退のリベンジを誓う

「私は文字ベースでクイズを覚えるのが苦手なので、クイズを出題する部員の声を録音して下校中に聞いてます。その中で、例えば『マリトッツォ』みたいな、知らない単語が出てくれば、家で調べて映像としても覚えます。単語と映像をしっかり一致させて知識にしていくんです」

クイズと勉強は「相乗効果」

部の活動方針の一つに、勉強とクイズの両立がある。「クイズで得た知識は、日本史や世界史、古典の授業で役立つ場面があります」(笠井さん)。「この授業の内容、クイズで知ってるぞ、みたいな」(稲葉君)。「教科書の内容がクイズ問題として出題されることもある。相乗効果というか、クイズの知識は勉強面にも活かされてると思います」(佐々木君)

笠井さんは中2のとき、伊沢拓司さん率いるクイズ集団 「QuizKnock」の動画視聴をきっかけに、クイズの世界に魅了された。「勉強やクイズをすごく楽しんで、面白そうに取り組む『QuizKnock』のみなさんを見て、賢いってこんなにカッコいいんだって!」

中高生部員は、総勢80名を超える大所帯。「高校生クイズ」の全国大会で躍動する先輩たちに憧れて入部する生徒も多い。「高校生クイズ」の予選が近づくと、部は活気づき、部員たちの結束も高まっていくという

経済のクイズ大会で日本一に

2月に開催した金融・経済の知識を競う「第16回エコノミクス甲子園」では、佐々木君と稲葉君の先輩後輩ペアで挑み、日本一に輝いた。佐々木君は経済用語集を熟読し大会に備えた。「経済に関する知識をつけながら、この用語をクイズで出題したら面白そうだなと、自分で問題を想像していました」

同大会優勝者の2人は、中高一貫の中学校から部で苦楽をともにした気心知れた仲。「部内でもエース級の、実力ある先輩と一緒で心強かった」(稲葉君)。「クイズ力に加えて稲葉君はコミュ力の高さも強み。大会の要所で的確な判断をしてくれて、気持ちの面でも支えられました」(佐々木君)と、互いの健闘を労った。

佐々木君は受験勉強に専念するため部を引退するが、「『エコノミクス甲子園』で経済に触れてより興味を持ちました。理系志望ですが、大学で経済学の講義も受けたい」と、希望を膨らませる。

東大王で優勝「私、持ってるな」

一方、笠井さんは、2人の同学年部員とともに昨年出場したクイズ番組「東大王クイズ甲子園2021」で見事優勝を飾った。同大会でのクイズ「早書きバトル」で笠井さんは、高校生に交じり参加した東大王チームをも上回る、個人トップの成績を収めて自校の勝利に貢献する活躍をみせた。

「東大王クイズ甲子園」で全国優勝を果たした笠井さん、倉光勇志君(3年・右)、桑名良治君(3年)(笠井さん提供)

「得意なクイズのジャンルがあるわけではないんです。ただ『運の強さ』はあるなとは思ってて。私、持ってるなと」(笠井さん)。その後、「東大王」のスペシャル番組にも単独出演を果たし、学校外でも大きな注目を集める高校生クイズプレイヤーへと飛躍を遂げた。

「自分の名前だけが羽ばたいてる感じなんです。……それが重圧だと思う瞬間もありますが、私自身は優勝前と何も変わっていない」と、自然体を貫く。

目指すは東大王・高校生クイズの2冠達成

笠井さんの活躍ぶりについて、佐々木君や監督の先生は「大舞台に強い」「(存在が)映える」と、彼女の持つ「圧倒的ヒロイン感」を称賛する。

笠井さん自身は、「東大王」優勝を機に変化した周囲からの反響や期待を、持ち前のポジティブさで楽しむつもりだ。「どの大会でも出場するからには、『主役』でありたいと思ってます。主役になれるよう、クイズ知識の底上げをしていきたい」

今後の目標は大きく、「東大王クイズ甲子園」2連覇、「高校生クイズ」全国優勝と掲げる。「『東大王』の2連覇は、まだ誰もなし得てないので、私が成し遂げてみたい。そして『東大王』『高校生クイズ』の2冠達成して“レジェンド”になりたいです」と、笑みを浮かべた。

笠井さんの趣味はパンやスイーツ作り。「かわいいお菓子を作るのが得意です」。写真は彼女が作ったリースタルト(左)とパン(笠井さん提供)