男子73キロ級で優勝した勝部翔(右)=決勝、中村博之撮影

第39回全国高校柔道選手権・男子73キロ級(3月19日、東京・日本武道館)

男子73キロ級を制した勝部翔(京都・京都学園2年)は、昨夏のインターハイで初戦敗退。全国大会独特の雰囲気に緊張し、思うような柔道ができなかった。だからこそ今大会は、「日本一になるためには1回戦がカギ」と考えていた。しかし、相手が知らない選手だったことで対応が遅れ、試合が始まると、自分の動きが硬いと感じた。何度か「まずい」と思った場面があったが、それでも何とか「有効」を奪って逃げ切った。

鬼門の初戦を突破した勝部は勢いに乗り、2回戦を44秒、3回戦を25秒と、鮮やかな速攻で一本。4回戦では優勝候補の1人を「有効」で下すと、準決勝も「指導1」差で勝利をたぐり寄せた。技のポイントこそなかったが、勝部は「厳しい場面はあったけれど、リードした後も逃げることなくできたのは良かった」と、たしかな手応えをつかんで決勝進出を果たしたのだった。

優勝を賭けて対戦したのは、村上優哉(兵庫・神戸国際大付2年)。優勝候補筆頭とも言われていた強敵で、近畿大会で4度戦ったことがあった。戦績は1勝3敗と、勝部がやや劣勢だったものの、「相手のことはよくわかっていたし、あとは思い切ってやるだけでした」と怯(ひる)むことなく、果敢に挑んでいった。その結果、開始1分3秒で見事な背負い投げが決まり、悲願の優勝をつかんだ。

「いつもは両手で持って柔道をするのが苦手でしたが、決勝ではしっかり両手で持って投げることができました」と、最後に理想に近い柔道ができたことを喜んだ。パワー不足を解消するために、ベンチプレスをこつこつ続けてきた成果も出ていたかもしれない。

金メダルを手にした勝部の表情は誇らしげだった。(小野哲史)