相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、脅威を与えたりする「ハラスメント」。特に地位の強い人から受ける嫌がらせのことをパワーハラスメント(パワハラ)と言い、学校の先生から生徒へのスクールハラスメントも問題になっています。この春、高校を卒業したとけいさんは、部活顧問の先生からパワハラを受けていました。勇気を出してその経験を語ってくれました。

100人の前で注意され何度もやり直し

私は中高一貫校に通い、5年間、学校で一番規模の大きい音楽系の部活に所属していました。そこで顧問からパワハラを受け続け、今は楽器に触れたい、クラシックを聴きたいという気持ちが一切ありません。

音楽に触れたいという気持ちがなくなってしまった(写真はイメージ)

幼いころからピアノを習い音楽に触れる機会が多かったため、ためらうことなく入部し、1人で目立つことが比較的多い楽器を担当していました。1年目から、100人ほどの生徒の前で1人注意されたり、何度もやり直しさせられたりするのは日常茶飯事でした。

ミスをなじられ怒鳴られて

同じ楽器を担当する先輩が全員引退したころから、地獄のような日々は始まりました。

自分の基礎ができていない中での後輩指導。後輩に対して顧問はほとんど指導せず、自分の満足する結果が出ないときには、こちらに圧力をかけてきました。自分の練習時間は十分に取れず、必然的に怒鳴られる回数が多くなりました。

また、他の団体で演奏を行ったあとの練習でミスをすると、「君はここでは手を抜くんだね」となじられました。

ミスをするのが怖くなり、自分の演奏する場面が来ても手が動かなくなることもありました。何をしても怒鳴られ、何もしなくても怒鳴られるという悪循環になっていました。

何をしても怒鳴られ、追い詰められた

大事なものを奪われた…今も自分を責めてしまう

顧問から受けたパワハラの一部を書きましたが、世間の言うパワハラには及ばないかもしれません。しかし、他の部員に対しても、泣いてもたたみかけるように怒鳴る姿などを見続けて自分は追い詰められ、コロナの影響で部活が中止になったときには安心するほどでした。

顧問の機嫌の良し悪しや話がすぐに二転三転する性格、何を言っても言い訳として聞き入れない態度に振り回され、大事なものを奪われました。その一方で、私の行動や態度のせいだったかもしれない、違う人ならうまくやれたかもしれないと、今でも自分を責めてしまいます。

最終学年なのにコロナのせいで大会にも出られず、思い出も作れず悔しい、と同学年の人が悔しさをにじませるのを見ると、同じ気持ちにはなれずやり切れない気分になりました。(とけい=3月卒業)

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