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データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「世界史A」の問題分析は次の通り。

 近現代史を中心に諸資料から情報を読み取り、歴史事象を考察する力が求められた 

従来のセンター試験に比べ、諸資料を丁寧に読み込むことが求められる出題が目立った。単純な歴史用語の暗記ではなく、意味や意義までしっかり把握できているかが問われる問題も増加している。文章の精読が必要となり、かつ戦後史からの出題が大幅に増加したため、昨年センター試験よりやや難化。

大問数・解答数

昨年のセンター試験より大問数は4から5に増加。解答数は32個から33個に増加。

出題形式

昨年のセンター試験より文章選択問題が22問から17問に減少、組合せ問題が1問から8問、年代整序問題が1問から3問に増加した。全体を通して、記号選択問題で新しい形式の問題が増加し、論文や歴史書などの資料で展開しそれらの読解が求められる問題が増加した。

出題分野

昨年センター試験より、時代は現代・戦後史が大幅に増加し、近世・近代が減少した。地域はヨーロッパ・アメリカが中心だが、他の地域からもまんべんなく出題された。分野は昨年のセンター試験から変更なく、政治史が中心の出題となった。

問題量

昨年のセンター試験より増加。

難易

昨年センター試験よりやや難化。

大問別分析

第1問「国際関係や国際貿易の歴史」 (19点・解答数6) 

Aはソ連との外交に関するアメリカ合衆国の論文、Bは1840年から1900年までのイギリスとアメリカ合衆国の貿易に関する統計資料で展開し、世界の社会経済に関連する歴史事象が問われた。問3は、資料から情報を読み取り、歴史事象を考察する力が求められた。問6は、グラフが示している輸出・輸入と、読み取れる事柄の文章中の語句の持つ意味を正確に結びつけることができれば、正答を導くことができる。

第2問「世界史上の人物・事件を題材にした映画や絵画」 (18点・解答数6) 

校内上映会についての授業や、展示会の見学場面を想定した会話文形式で展開された。Aは映画「アマデウス」、Bはフランスの歴史と絵画を題材に出題された。問3は「プラハの春」、問4は「パリ二月革命」、問5は「パリ=コミューン」について、歴史用語そのものを問うのではなく、歴史事象の内容を正確に把握しているかどうかが問われた。問6は、世界史上の民衆などによる変革を求める運動についての基本事項が問われた。

第3問「世界史上の君主」 (27点・解答数9) 

Aはギリシアの国王が出した宣言、Bはサラディンの墓所の写真、Cは中国皇帝と日本から訪れた僧との関わりについての歴史書で展開された問題であった。問7は、北宋の文治主義が形成されたことについて、背景や結果・因果関係を理解できているかが求められた。問8は、資料文を使用した年代整序問題であり、日本と外国の交渉・交流についての歴史事象の推移が理解できているかが求められた。

第4問「世界史上の出来事の記録」 (18点・解答数6) 

Aではオーストラリアに関する歴史上の出来事についての記録、Bでは朝鮮半島に関する歴史上の出来事についての記録を、それぞれ複数提示された出題。問1は、資料からオーストラリアに関わる歴史事象とそれらの因果関係を想起し、時系列の理解が問われた。問2は、資料1の記述からオーストラリアの外交方針の転換について推察することが求められた。

第5問「民族間の対立関係や民族独立の運動」 (18点・解答数6) 

Aは中国の軍事制度と周辺民族との関係について述べた論文の概要、Bは初代インドネシア副大統領の回想録で展開した。問4は、戦間期の非ヨーロッパ世界における民族自決という大きな時代の傾向を理解できているかが問われた。問5は、資料1・2で述べられている「非暴力」「非協力」の使い分けを理解したうえで、歴史事象と正確に組み合わせて正答を導くことが求められた。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2020年度 51.16点
  • 2019年度 47.57点
  • 2018年度 39.58点
  • 2017年度 42.83点
  • 2016年度 42.07点

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