リアルなバスケの試合シーン

岐阜・岐阜農林高校演劇部は第 40回全国高校総合文化祭広島大会(ひろしま総文)の演劇部門(8月、広島市)で文部科学大臣賞を受賞した。バスケットボールの描写にとことんこだわり、農業高校らしさが光る作品だ。舞台裏に迫った。(野村麻里子)

台本は即興演技から構想

作品「Is(あいす)」は農業高校の男子バスケットボール部の前に現れた転校生の天才バスケットボール少女Sとイチゴ農家の少年愛地を中心に、ぶつかりながら成長する若者を描いたもの。イチゴ栽培やアイスクリームづくりなど、農業高校らしい実習の描写が特徴だ。台本は部員それぞれが即興演技をしながら構想を練って作り上げた。

試合のシーンは、ドリブルするときに効果音を入れたり、シュートが決まるとゴールネットが揺れたりするなど、リアルさを追求した。バスケの動きはパントマイムで表現。Sを演じた鶴田琴美さん(3年)は「実際にバスケ部を見学した。ボールを買ってドリブル練習をしたりNBAを見たりして研究した」 という。

S役の鶴田さん(右)と愛地役の市川君

初舞台が全国大会

Isには、主役の2人のイニシャル(Sと愛地)、アイスクリーム、人を愛するなど、たくさんの意味が込められている。昨年、当時の3年生が中心となり作り上げた演目で、全国高総文祭は現3年生が引き継いでから初めてのステージだった。鶴田さんは「入部してからずっと憧れて、姿を追いかけていた先輩から役を引き継いだ。プレッシャーはあったが、私なりのSを見つけ、自由に演じられた」と話した。

活動はほぼ毎日で、朝は発声練習をしている。来年の全国大会に向けた県大会が始まっており、その演目とIsの両方の練習をこなしてきた。主役の愛地を演じた部長の市川正稀君(3年)は「生徒主導で運営しているのが特徴」と話した。役はオーディションをして演出の部員が決めている。