夫から暴力を受けたり、離婚して子どもの養育ができない時など、さまざまな問題を抱える母子を支援するのが「母子生活支援施設」です。その職員として働く母に、仕事内容ややりがいについて取材しました。(高校生記者・梨子=1年)

暴力、経済苦など苦しむ母子を自立へ導く

―具体的にどんな仕事をしているの?

母子生活支援施設で生活している方と自立支援計画を一緒に立て、施設を出た後も地域で生活していけるような支援を行っているよ。定期的に面談をしたり、相談を受けたりもするよ。

―母子生活支援施設って?

夫などからの暴力、住宅の事情、経済の事情など生活をする上で問題を抱えている母親と子どもが一緒に入所して生活する施設だよ。DV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)などの被害者を一時的に保護することもあるよ。

母と私ときょうだい。普段聞かない母の仕事の話に驚かされた

人の成長を間近で見られる

―この仕事でやりがいを感じている部分は?

人の成長を間近で見られるところかな。施設の利用は2年が目安とされているの。さまざまな事情で施設にやってきた人が変化していくのを見られるのは、語弊があるかもしれないけど、この仕事の面白いところだと思う。

あとは、人生の大きな岐路に立っている人を支えて、それに関わっていけることが、やっぱりやりがいを感じるところだな!

―施設に入っていた人のアフターケアはどうしているの?

子どもたちが施設に遊びに来ることもできるし、施設での地域に向けての行事に定期的に招いたり、電話で近況を聞いたりしているよ。

利用者との距離が近い

―今までを振り返ってみて、印象に残っているエピソードを教えて。

この仕事を初めて最初に担当したお母さんのことが思い浮かぶなあ。施設で暮らす中で、来た当初よりもずっと心に余裕を持てるようになっていくのが目に見えていたの。その方のお子さんの成長を見ると、すごくうれしく思うよ。

―この仕事で大変だと思うのはどんなところ?

利用者の方との距離が近いために、感情的に当たられることも多いのが大変かな。

名指しで「あの職員さんとは話したくない」などと言われるとね……やっぱり職員も人間だから……傷つくよね。

―この仕事をするにあたり、持っておきたい資格などは?

特に取っておく必要がある資格はないけれど、利用者が子どもをみることができないとき、保育の役割もするので、保育士の資格を持っている人もいるよ。

社会福祉士の資格などもあるかな。ただ、「取っておく」というより、この仕事をしながらそれらの資格を取る人もいるね。

母が仕事で使っている文具や施設のパンフレット

―最後に、この仕事を続けていきたい?

ずっとやっていきたい!

【取材後記】普段聞かない仕事の話に驚いた

私は、普段あまり聞かない母の仕事の話に驚かされたり、少し悲しくなったり、そしてとてもうれしくなったりしました。その話をまとめるのは少し大変な作業でしたが、このような機会を作ることができて、本当によかったと思っています。

私自身の将来の仕事について、まだはっきりと決めていません。ですが、母から聞けた話が私にとって「大事なものになる」と感じました。(高校生記者・梨子=1年)