【共通テストも怖くない! 受験勉強の王道1】数学 永島豪先生(駿台予備学校 数学科講師)

各大学の入試や大学入学共通テスト(新テスト)にも対応できる勉強法を、駿台予備学校の永島豪先生に教えてもらった。

 

試行錯誤が大切

共通テストが「太郎と花子による会話形式の問題」にこだわるのは、2人のように試行錯誤して問題解決する力を重要視しているからと考える。それはすなわち、「高校生にその力をつけてもらいたい」というメッセージだろう。

すぐ解答を見て作業を片付ける能力も必要とは思うが、そのような機械的作業はAIがとってかわるという意見もある。忍耐強く熟考して、他人と助け合いながら問題解決にあたる能力も大事だ。

具体的には、どうすればよいだろうか。まず、手を動かして答案を丁寧に書いてみよう。丁寧に書くことで、熟考することになるのである。その後、模範解答や他人の解答と比べて良く検討してみよう。異なる解法を比べることになり、その良し悪しを試行錯誤することになるかもしれない。

最後に、少しでも自力でその解答を書けるように努力しよう。書けないのであれば、何が不足しているのかを考えて補おう。答を見ずに自力で答案を仕上げられたら「問題解決」したことになるであろう。全ての問で、この3つを実践するのである。

アウトプットを重視しよう

次に新テストが「記述式問題」にこだわった理由は、他人に自分の意見を伝える力や表現する力(アウトプットする力)を重要視しているからと考える。かなりこだわっていたことから、私は次世代の人間を変えようとする強い意志を感じた。

結局「記述式問題」は中止になったが「色々書くことをしないと解けない問題」に変えて訊いてくる気もする。この力をつけるためには以下のようにすればよい。

まず授業中は、黒板の内容をただ写すのではなく、先生が口頭で話していることも含めて自分のノートを自分でつくることを心掛けよう。授業をとり入れて自分の作品をつくるのである。分かっているから書かなくても良い、ではなく、分かっていてもアウトプットするのである。意外に分かっていない自分に気付くことも多いだろう。

数学では「○○なので、△△は(数式)である」のように、日本語の文章の中に数式を入れると、流れがよく分かり、後から見返したときも分かりやすいので、おすすめである。逆に、おすすめしないのは、面倒くさがって書かないことや、頭の中で処理することをカッコ良いと思うことである。国が「記述式問題」にこだわった理由は、書く人を育てたかったから、とも思える。

次に問題演習では「なぜこの考え方・変形をするのか」「なぜ他の考え方はしないのか」という理由を考えて、答案を書いてみよう。答案が書けない場合でも、与式を書いたり、「~を示す」という目標を書いたり、移項したり、探ったりという行為はできる。そう、前に述べた試行錯誤をするのである。これを時間の無駄とか、エネルギーの無駄と思ってはいけない。一見、無駄に思えることが重要なのである。

最後に解答を見た後は、自力で問題が解けるかどうかを考えるとよい。例えばスポーツなら「見るだけでは出来るようにはならない」と良く分かっているが、数学も同様だ。「解答を見るだけ」や「解答を赤ペンで書き写すだけ」では、その問題を解けるようにはならない。何も見ず解けるようにならないと意味がないのである。 

 

永島豪先生

(駿台予備学校 数学科講師)

ながしま・ごう 京大大学院で航空工学を専攻。航空会社に勤務後、駿台へ。高校数学のまとめ(ポイント集)をウェブで公開中。