勉強法についての悩みに、多くの受験生を合格へと導いてきた各教科の先生が、大学受験突破のためにアドバイス。駿台予備学校の生物科講師の山下翠先生に入試で生物を選んだ人の勉強法を教えてもらった。(構成・山口佳子)

志望校が決まったらまず過去問に目を通そう

3年生になって志望校が決まっていたら、すぐにでも2~3年分の過去問に目を通してみよう。

目的は、「相手を知る」こと。過去問の冒頭には、監修者などがその大学の問題傾向を分析してまとめている項もあるが、自分自身で体感することが大切だ。

どのような出題形式か、どれくらいの情報量を読み解かなくてはいけないのか、どれほどの記述をどれくらの時間でまとめなくてはいけないのか等を最初に知っておくことで、今後の目標が明確になる。

大学によって出題傾向が違う

大学によって傾向も全く違うので、自分の志望校の特色をつかむこともできるだろう。

例えば、教育大なら中学理科、薬科大はモル計算が出るので高校化学の知識が必要、この大学は計算が多い、高校数学の知識も問われる、など、試験傾向は大きく異なる。

自分がこれから勉強していくべき内容のイメージがわくはずだ。

早稲田の先進理工はメモを取って文章を読むのがコツ

そんな中でも、早稲田の先進理工は特徴的。試験時間60分で、膨大なリード文を読み解き、複雑な実験を理解し、考察論文を書くことが要求される。

「時間がなくてできなかった」とならないためには、メモを取りながら文章を読む、複雑な実験を自分なりに図示してみるなどの工夫が必要だ。ちょっとしたコツだが、一朝一夕ではなかなか身につかない。早めに過去問に触れることでメモ等の大切さを体感できれば、日常の勉強にも取り入れることができ、受験本番にも役立つだろう。

いきなり全部解く必要はない

一方、過去問そのものの出来については、3年生の夏休み前までならあまり気にすることはない。知識の習得がまだ十分でないからだ。

問題を体感するために取り組む場合は、大問のうちの一つだけを、制限時間を設けずに挑戦するなどで十分だ。

しっかりと過去問に向き合うのは、3年生の10月以降でOK。新テストの対策に追われそうな人は、論述対策だけは早めに進めておき、新テストが終わってから志望校の過去問に再度取り組み、ラストスパートをかけよう。

山下翠先生(駿台予備学校 生物科講師)

 

やました・みどり 高1から高3までの授業を多数担当し、熱意にあふれた分かりやすい授業は生徒から多くの支持を得ている。模試の出題や教材の執筆も担当。