高校生団体つくり途上国支援

小学生のころから途上国に漠然とした関心があり、高校1年生の時に非政府組織(NGO)の企画でタイの山岳民族の村にホームステイ。そこで、使わなくなった鉛筆を子どもたちに配ると「これ以上ないくらい喜んでくれた」。
 
 帰国後、さらなる支援をしようと、高校の仲間や小学校の同級生らと高校生国際ボランティア団体「どえりゃあwings」を結成。タイの山岳民族の子どもたちに向けて「修学旅行」を企画した。子どもたちが都会に出稼ぎに出てトラブルに巻き込まれることがあると聞き、在学中にあらかじめ都会を知ってもらう狙いだ。
 
 募金に励み、現地のNGOと連携し、翌年、修学旅行は実現。子どもたちからお礼のビデオレターが届いた。
 
 その後、メンバーは50人近くまで増え、バングラデシュやブラジルの子どもへの支援など、活動の幅が広がった。

世界の現状、自分の目で

活動を重ねるうちに「将来、国際協力の仕事に就きたい。厳しい状況の国に行き、役立ちたい」という思いは強まったが、悩みがあった。「国際機関、企業、ジャーナリスト……。自分が就きたいのはどれだろう」。それぞれの仕事が、本当に現地で需要があるのか分からない。就きたい仕事によって進学すべき学部は変わる。「取りあえず大学に入ってから仕事を絞るのでは遅い」
 
 昨年秋、世界一周をした人の講演を聴いてピンときた。「自分の目で、世界の現状と、国際協力の仕事を確かめよう」。世界一周経験者に会って話を聞き、本も読んだ。親は当初、猛反対していたが、企画書を作って喫茶店で説得した。

費用150万円、支援者募る

日本を出た後、アジア、ヨーロッパ、北米、南米、オーストラリアと移動する。安全を考え、宿泊先の予約は、日本でとっておく。カンボジアの孤児院を訪ね、バングラデシュではスラムに行く。ヨーロッパの国際機関やニューヨークの国連本部で働く人にも会いたい。
 
 費用約150万円は、個人から協賛を集めて賄う。ウェブサイトを作り、チラシも刷った。経済人が集まるイベントなどで話をさせてもらい、支援を仰ぐ。
 
 3月、同級生がサプライズで「吉野を送る会」を開いてくれた。涙が出た。旅を許してくれた親には感謝している。「思いやり、愛だと思う」
 
 帰国は来年1月の予定だ。
 
(文・写真 西健太郎)