高校生のみなさんは好きな洋楽はありますか? 高校生記者にイギリスのアーティストであるサム・フェンダー(Sam Fender)さんを紹介してもらいました。

EU離脱、「白人の特権」…社会的なテーマも扱う

彼の音楽の一番の特徴は、一般的なラブソングではなく「今、世界で起こっていること」をテーマとした曲が多いことです。

Sam Fender『Hypersonic Missiles』

まず、私が特に衝撃を受けたのは、「White Privilege」という曲です。ブレクジット(イギリスのEU離脱)、エコーチェンバー現象(SNSなどで同じ意見の人が集まって肯定され続けると他の意見を認められなくなる現象)、家父長制、そして「白人の特権」について触れています。

ここまで率直で堂々とした歌詞の音楽を聴いて、とても感動したのを覚えています。それまで、私はいわゆる「白人」に対し、劣等感を抱いてしまっていましたが、そのコンプレックスからも救ってくれた曲です。

 

友人の自殺がきっかけに作った

次に、彼の代表曲でもある「Dead Boys」をおすすめします。

この曲は、彼が友人の自殺にショックを受けて作られたもので、メンタルヘルスや「Toxic masculinity」(男性の外見などに偏った規定をして、それにそぐわない行動や思想を排除すること)について歌われています。私はこの曲で初めてこの、「Toxic masculinity」…つまり「男らしさの毒」という言葉を知りました。

女性の私にも、男/女であるからこうあるべきだ、といった考え方が人を苦しめることがあるのだと気づかせてくれた大切な曲です。自殺や鬱の辛さについての歌詞、美しいメロディーと歌声は、いつ聴いても心が洗われます。

 

透き通ったギターの音に癒される

多様な音楽に影響を受けたというメロディーも魅力的で、ギターの音が透き通っていて、すごく癒されます。他にも、彼の曲にはどれも違ったテーマ込められているのでぜひ、歌詞を見ながら曲を聴いてほしいです。(高校生記者・C.X=3年)