大学進学を考える際、保護者の心配ごとのひとつとしてあげられる「お金」のこと。ここでは入学までにかかる費用、大学生活にかかる費用の一例を紹介する。(内容・データについては、全国大学生活協同組合連合会と共同発行している「保護者のための大学生活入門(2019年6月1日発行)」の内容をもとに編集。)
出願から大学入学までにいくら必要?
大学入学までにかかる費用は、進学先が国公立大か私立大か、また自宅通学か下宿(※)かなどによって異なる。費用の中でも最も金額が大きいのは入学大学への納付金。全国大学生協連が行った「2018年度保護者に聞く新入生調査」によると、全体平均で国公立大が62万7500円、私立大が94万2900円となっている。ただし、私立大の場合は、同じ大学でも文系学部と理系学部、医・歯・薬系学部では差があるので注意しよう。
※寮生を除く自宅外生(アパート、マンションをはじめ、学生会館、貸間なども含んだ住まいの学生)を下宿生とする。
入学後のお金の問題…大学生活にかかる費用は?
大学生活にかかるお金は、自宅生か下宿生かによって大きく変わってくる。
全国大学生協連が2018年秋に行った調査によると、下宿生の1カ月あたりの支出は全国平均で12万6100円。このうち最も大きな割合を占めるのが住居費で、5万2560円となっている。ただし、家賃は地域によって差があり、首都圏は高めだ。
それに対して、下宿生の1カ月あたりの仕送り額はというと、2017年にくらべ1480円減少した。また、かつては収入の約2割を占めていた奨学金が3年以上にわたり2割を下回る結果となっている。
また、自宅生については、収入の約2割近くを奨学金が占めており、長引く不況の中、大学生の生活を支えるものとして奨学金が欠かせなくなっていることがわかる。
進学の強い味方!奨学金を上手に活用しよう。
奨学金は主に、高3時に在籍高校を通して申し込む「予約採用」と、進学後、大学などを通して申し込む「在学採用」がある。また、多くの大学でも独自の奨学金制度を設けており、最近は返済義務のない給付型のものや、入試の成績優秀者の学費を減免する特待生制度が充実している。このほか、自治体の奨学金制度や、企業などが設立した育英団体の奨学金制度もある。
なかでも一般的なのが「独立行政法人日本学生支援機構」の奨学金。大学、短大、専門学校など、進学先を問わずに利用できる。卒業後に返済義務のある貸与型で、無利子の「第一種」と有利子の「第二種」がある。申し込みに際しては学力や世帯収入に一定の基準があるが、第二種のほうがより条件が緩やかだ。近年、奨学金受給者は減りつつあり、その理由として、返済に関する不安が挙げられる。就職難や卒業後3 年以内の離職率が騒がれる昨今、借りた奨学金をきちんと返済できるか不安に感じる家庭が多いことがうかがえる。
奨学金を利用する際は、しっかりと情報収集をし、返済のことも視野に入れ、自分にあった奨学金を見つけることがポイントとなる。