バドミントンの山口茜(福井・勝山3年)が、高校最後のインターハイで女子シングルス3連覇と学校対抗優勝に挑む。リオデジャネイロ五輪出場も視野に入れる18 歳は、同時期の世界選手権を辞退して、インターハイ出場を選んだ。高校最後の夏、完全燃焼を誓う。(文・石井宏美、写真・幡原裕治)
■世界ランク10位
女子バドミントンの世界ランキングで、山口は10位に名を連ねる(6月25日時点)。1年前の70位台から大幅に順位を上げたのは、世界を転戦する中で、粘って崩すというプレースタイルを築き上げ、大舞台で勝てるようになったからだ。昨年11月には中国オープンで準優勝、12月のスーパーシリーズファイナルでは女子シングルスで日本勢初となる3位と、世界の主要大会で結果を残している。
昨年12月に行われた全日本総合選手権では、女子シングルスで初優勝。2年前は自身でも「現実味がなかった」というリオ五輪を狙える位置につけ、周囲からの期待は日増しに高まっている。しかし、山口はプレッシャーを全く感じていない。「自分は応援を力に変えていけるタイプ。『声を掛けてくれる人たちのために頑張ろう』って思えるんです」
■世界選手権辞退し総体へ
日本代表の活動がないときは、高校の部活で研さんを積む。故郷の福井県勝山市を愛する山口は、地元代表として出場するインターハイに並々ならぬ意欲を燃やしてきた。以前から「出場しなかったら、高校進学の時に地元に残る選択をした意味がない。高校最後の1年は勝山市の人間として戦いたいんです」と出場を熱望していた。
5月から始まったリオ五輪出場を懸けたポイントレースの中高校最後の夏で、最も得点が高いのが世界選手権だが、インターハイと日程が重なった。苦渋の決断を迫られた山口は、自らの意思でインターハイ出場を決め、世界選手権出場を辞退した。
山口ならば、たとえ世界選手権を見送っても、ほかの大会でポイントを穴埋めできる。まずは、インターハイで女子シングルス3連覇と学校対抗優勝目指す。もちろん、リオ五輪出場のためのポイントを獲得することも、今年度の大きな目標だ。「誰よりもバドミントンを楽しみたい。そのためにも勝ちたいんです」
勝山の名を背負って挑む高校最後の夏。自身のため、そして育ててくれた「勝山への恩返し」のため全力を尽くす覚悟だ。
(プロフィル)
やまぐち・あかね 1997 年6月6日、福井県生まれ。勝山南部中出身。2011 年、全日本総合選手権に史上最年少の14 歳で出場。中学3年だった12 年に史上最年少で日本代表入り。13 年にヨネックス・オープン・ジャパンで日本人初優勝。156㌢、55㌔。