京都文教高校(京都)バトン部は、全国大会に21年連続で出場し、9年連続で金賞を受賞している全国屈指の強豪校だ。バトントワーリングは、自分たちの体と棒状の手具を使い、音楽に合わせて舞う。緊張感を保つ練習メニューを工夫し、繰り返し根気強い練習と話し合いで華麗な演技を実現している。 (文・写真 木和田志乃)
「5回連続成功」目指し
「ここは肩から動き始めて」「体重はこっちにかけて」。練習中、部長の五十棲万穂(いそずまみほ)さん(3年)が、部員たちに的確に指示を出す。体の使い方を実演しながら、つま先や指先まで細かく伝えていく。演技中の立ち位置を確認し、何度も曲をかけて踊り込む。振り付けは外部コーチに依頼しているが、練習は自分たちでメニューを考えている。
バトンを落とすと踊りが途切れ、フォーメーションも崩れてしまう。「落とす危険がある部分を5回連続成功させる」など、練習課題も自分たちで設定している。失敗するとまた一から始めるので、5回目は緊張が高まる。こうした練習で、技とともに「大事なところで決める精神力」も鍛えられる。
ぶつかりながら技磨く
「体を動かす時間を少しでも長くする」(五十棲さん)ため、腕や脚の角度や全身を伸ばすタイミングなど、練習前に細かい点の確認を徹底する。しかし、何度練習しても動きがそろって見えず、原因を巡って部員の意見がぶつかることもある。
授業の休み時間に話し合って、ようやく振りを合わせても、翌日になるとまったく合わなくなることも多い。「振りをそろえる時間が長くて、気持ちがだれてしまうことがあります。毎日の積み重ねは難しいですね……」(副部長の高鍋真菜さん・3年)
それでも「全国大会金賞が目標。結果を残せたときにメンバーと喜べる達成感を支え」(高鍋さん)に「バトンは1回ですぐにできるようになる競技ではないので繰り返しが大切」(五十棲さん)だと地道な練習に励む。
強さと柔らかさ演じたい
同部の演技の特徴は、構成が複雑なところだという。演技時間3分半で、「全員で同じ動きをする」「2人一組で演技する」「グループに分かれて演技する」など展開していく。「今年の曲、ドボルザークの『新世界より』は途中で曲調が大きく変わります。強さと柔らかさの両方を表現したい」(五十棲さん)
高鍋さんは「手具を扱う高い技術が要求される一方で、体操やバレエの要素も含んでいるのがバトンの魅力。アクロバットな技としなやかな踊り、いろいろな要素を1作品で表現したい」と語った。
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Q&A 人狼ゲームが流行
――部員同士ではやっていることは?
人狼ゲーム。よくやっています。
――バトン以外ではどんなことを話しますか?
テレビ番組や映画の話はよく出ます。後は、はやっているお店の話とか。最近よく出るのはタピオカのお店です。
- 【部活データ】
- 1957年創部。部員11人(3年生7人、2年生1人、1年生3人)。3年生の引退は12月。2017年バトントワーリング全国大会金賞・文部科学大臣賞受賞。練習は平日放課後3時間。土曜は4時間。コーチは1999年から世界バトントワーリング選手権日本代表の小城桂馬さん。
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