ボランティア活動に取り組む中高生をたたえる第22回ボランティア・スピリット・アワードの全国表彰式が12月24日、東京国際フォーラムにて行われた。参加者同士の投票の結果、アメリカでの表彰式に派遣される「米国ボランティア親善大使」の一人に、ヘアドネーションに取り組んだぐんま国際アカデミー高等部の伊谷野真莉愛さん(3年)が選ばれた。(高校生記者 中澤彩恵)

表彰される伊谷野さん(ボランティア・スピリット・アワード事務局提供)

 

ドキュメンタリー見て衝撃受けた「協力したい」 

「ぐんま国際アカデミー女子高生ヘアドネーション同好会」代表の伊谷野さんの活動は、がん治療などによって髪の毛を失った子どもたちへ医療用のかつらを無償で届けることだ。
活動を始めたきっかけは中学2年生の頃、小児がんと闘っている子どものドキュメンタリー番組だ。伊谷野さんは強い衝撃を受け、自分にも協力できることは何かあるだろうか、と行動を起こした。

初めは1人での活動だった。高校1年生の時、髪を切ってNPOへ寄贈。ヘアドネーションには31センチメートル以上の長さが必要のため、2年間かけて丁寧に髪を伸ばした。もっとこの活動を広げたいと思い、高校で同好会を立ち上げた。メンバー集めや顧問の先生探し、活動場所、髪を郵送する費用、そして自分たちの集めた髪で、無償のかつら制作に協力してくれる企業探し。活動を起こす上で多くの困難があった。

活動をまとめたポスター

 

大学生になっても続ける

現在、伊谷野さんたちは念願の「幸運のウィッグ」第1号を完成させ、新たに第2、3号の制作を進めている。他校の同好会とも連携を取り合い、アートネーチャーと群馬大学医学部付属病院小児科から協力を得て活動している。初めは1人で走り出した活動でたくさんの困難もあった。しかし、伊谷野さんのあきらめない気持ちで今では周りの人をも巻き込む大きな活動となった。

「私は今年で高校を卒業するのでこの活動を来年度以降も継続して活動が行えるよう、後輩への引き継ぎを同好会としては大切にしています」。伊谷野さんは大学生になっても、個人で活動を続けるつもりだ。

 

記者の目
 伊谷野さんの行動力、周りの人を誘い込む影響力、活動を通じて人々を笑顔にする力に、同じ高校生とは思えなかった。他者を思い、行動を起こすボランティアの素晴らしさを感じた。(中澤)
伊谷野さん(左)