全国高校総体(インターハイ)陸上の女子円盤投げ決勝が7月31日に岡山市のシティライトスタジアムで行われ、大河原梓(茨城・土浦湖北3年)が46メートル50を投げて優勝した。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)
会心の投てき、仲間の応援が後押し
予選が始まる直前の気温は35度。グラウンドレベルはそれ以上だっただろう。大河原が「とても暑かったので、予選はあまり長引かせたくなかった。決勝もそうですが、1本1本をしっかり決められるように意識して臨みました」と語ったように、予選は1投目で通過標準記録(39メートル50)をクリア。12人が進んだ決勝では、大河原だけが一度もファウルをすることなく、6投すべてを投げ切った。
優勝記録となった2投目の46メートル50は、自己ベスト46メートル83には及ばなかったが、会心の投てきだったと振り返る。「ターンの形も良くて、円盤も指にすごくかかっていたので、投げた瞬間に『飛ぶな』と感じました。感触としては今までで一番良かったと思います」。炎天下のスタンドで「ずっと応援してくれた」という陸上部の仲間の存在が、大一番での最高の投げを引き出したのかもしれない。
「遠くに飛ばせる楽しさ」
大会前、優勝候補筆頭に挙げられていたのは、6月の日本選手権で高校歴代4位となる49メートル65をマークした齋藤真希(山形・鶴岡工1年)だった。「決勝で初めて一緒になっていろいろ刺激をもらいました。でも、3年生としての意地もあって負けたくはなかった」と静かに闘志を燃やしていた。大河原自身、2年生で臨んだ前回は予選落ち。悔しい経験を経てつかんだ高校日本一のタイトルだったのだ。
中学時代は砲丸投げ、高校に入ってハンマー投げと砲丸投げを専門にしたものの、腰痛もあって1年生の夏に円盤投げに転向した。大河原は円盤投げの魅力を「ずっとやってきた砲丸に比べると、円盤はとても遠くに飛ぶ。単純にそれが楽しいので、記録が伸びるほど充実感があります」と語る。高校生活で残された大会はそう多くないが、自己記録を少しでも伸ばすため、大河原のチャレンジは続く。