教室内に作ったつり橋

県立浦和高校(埼玉)の文化祭が9月15、16の両日に開催された。3年10組39人は、教室内にジャングルをテーマにした体験型の冒険アトラクションを作った。

動物を手作り、ワニも象も

参加者は冒険者になりきり、多くの野生動物が潜む、暗く険しいジャングルの中をゴール目指して歩いていく。教室前方の出入り口から一歩足を踏み入れると、教卓付近まで全長約3.5メートルの木製つり橋が架かっている。橋の下の川から顔を突き出す、ダンボールで制作したワニたちに気を付けながら、グラグラ揺れる橋を渡り、冒険は続く。

行く手を阻むツタをかき分けて道を突き進む……が、行き止まりで慌ててUターン。道中に聞こえてくる、野鳥や猿の鳴き声BGMの演出も冒険心をかり立てる。迷路を抜けると、カバやオオハシ(ジャングルに生息する鳥)といった動物たちと記念撮影ができる憩いの広場だ。中でも、高さ約1.8メートルの象のオブジェは迫力満点で、多くの来場者から人気を集めた。

トーテムポールがお出迎え
象のオブジェと写る3年10組の生徒たち

企画発案は、あるゴリラの絵がきっかけになった。「6月の体育祭で、僕がクラス看板に描いたゴリラの絵が好評だったんです。その直後に文化祭の企画を考えたので、クラスメートの印象に残っていたゴリラから、みんなで発想を膨らませて『ジャングル』が浮かびました」(企画責任者の尾方瑛君)。ゴール地点ではゴリラのオブジェが冒険者たちを出迎える。

ゴリラのオブジェ
ゴリラのオブジェと生徒たち

コースにこだわり

揺れ動くつり橋、密林の迷路、かがんで進む洞窟など、多彩なコース設定のアイデアも光る。「ジャングルの中をただ歩くだけではつまらない。みんなで話し合いを重ね、お客さんが楽しめるよう、変化をつけたコースにしたんです」(尾方君)

教室のジャングルを探検
ほふく前進で移動

工芸の授業が生きた

夏休み明けの9月から、コースごとに班分けして制作に励んだ。芸術の授業で工芸を選択した生徒たちが、授業で学んだ知識を生かしてつり橋作りに当たった。尾方君は、ダンボール製の動物のオブジェを担当。「参考にしたのは、手のひらサイズの動物のペーパークラフト。その展開図を、拡大して大きな動物たちを作っていきました」。作業の遅れている班には、他の班から手厚いサポートが入った。「作業終盤は、クラスが一つになっていました」(文・写真 中田宗孝)