人間が排出した二酸化炭素(CO2)が地球温暖化につながると聞くが、なぜそんな現象が起こってしまうのだろう。国立環境研究所で地球温暖化について研究している塩竈秀夫さんに、高校生記者が取材した。(聞き手・竹内響、矢舗怜央奈 構成・小野哲史)

CO2が赤外線を吸収 氷が溶けて太陽光が海を直接温める

――そもそも、地球温暖化の原因は?

人間が二酸化炭素を含む温室効果ガスを排出してきたこと。温室効果ガスは、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を消費することで発生しています。大気中に出てきたCO2は、陸面植生や海洋がある程度は吸収してくれますが、すべてを吸収できないほどの量を発生させてしまっています。海面からCO2が出ているから人間のせいではない…というのは違います。人間が出したCO2が大気にたまり、その一部が海に溶け込んでいるのです。

――CO2の濃度が上がると、なぜ気温が上がるの?

一般に物体は、その温度が高いほどたくさんのエネルギーを赤外線として放出します。地球も同じで、太陽光によって地表が温められ、その熱を放出しますが、大気中にCO2があると、CO2が赤外線を吸収し、それによって温室効果も高まるわけです。

――CO2の増加によって、他にどんな影響がある?

海洋の貯熱量(海がどれだけ熱をためるか)も上がり続けています。海水は温まると膨張し、海面の高さを上げます。また、陸上の氷河やグリーンランドなどの氷床が溶けることでも海水面を上げています。海上の氷は解けても水位に影響はありませんが、白い氷があることで反射できていた光が、直接、海に差し込む。それによって海水温の上昇に拍車がかかってしまうのです。 

――人間が努力すれば温暖化は止められる?

人間が現在のペースでCO2を排出していくと、計算上、2100年には地球の温度が4度上昇する。氷期から間氷期の間では6度上昇しただけなので、人間がそのくらいのレベルの環境破壊をしていると言えます。まずは温暖化を進める化石燃焼の使用を減らさなければいけません。

特に多くCO2を排出する発電に関しては、風力や太陽光などに切り替えていく必要があります。再生可能エネルギーは実は低コスト。化石燃料に変わる新技術でシェアを得られれば富を得られる再生可能エネルギーは、いまや巨大産業となり、各国でし烈な競争が繰り広げられています。

 
塩竈秀夫さん
しおがま・ひでお 国立環境研究所地球環境研究センター気候モデリング・解析研究室主任研究員。武生高校(福井)卒。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了、博士(理学)。
 
 

※塩竈さんに聞いた異常気象の原因についてはこちらから。