世界の高校生が物理の実力を競う第49回国際物理オリンピックが7月21日から29日までポルトガルのリスボンで開催され、日本代表として高校生5人が参加。1人が金メダルを、4人が銀メダルを獲得した。 

左から吉見君、永濱君、末広君、水落敏栄文部科学副大臣、喜田君、大倉君(7月30日の文部科学省表敬訪問)

86カ国・地域から396人が参加 

大会は、各国から選抜された高校生らに物理への興味と能力を高めてもらい、国際交流を図るのが目的で、毎年開催される。20歳未満で大学教育などを受けていない生徒が対象で、参加は各国5人まで。今回は世界86カ国・地域から396人が参加し、理論問題、実験問題に各5時間をかけて挑んだ。金メダルは例年、参加者の約8%、銀メダルは約17%、銅メダルは約25%に与えられる。
 大倉拓真君(岡山・岡山朝日高校3年)が金メダルを獲得した。喜田輪君(大阪・初芝富田林高校3年)、末広多聞君(大阪・大阪星光学院高校2年)、永濱壮真君(大阪・大阪星光学院高校3年)、吉見光祐君(兵庫・灘高校3年)が銀メダルを獲得した。
 吉見君は2016年に銀メダル、17年に金メダルを獲得しており、3年連続日本代表を務めた。「将来は研究職に就きたい。素粒子(物理)か物性(物理)かでいうと物性物理、統計物理(を研究したい)。」と話した。末広君は、高校卒業後は海外大学で学びたいという。「上を目指して…MIT(マサチューセッツ工科大学)とか目指したいです。宇宙が好きなので、宇宙物理、宇宙工学あたりをやりたい」

2022年大会は日本で開催

日本代表は、昨年の国内大会「全国物理コンテスト『物理チャレンジ』」(参加申込者1967人)の成績優秀者から候補が選ばれ、研修合宿と最終試験を経て決定した。来年はイスラエルで開催される。22年の第53回国際物理オリンピックは日本で開催される。

物理の魅力や楽しさを聞いた

大倉君 科学全般だと、自然の現象を数式などの表現を通して原因を理解することです。物理は、根本的な原理、なぜそんなことが起こるのか原因を突き詰められるところが魅力です。
 喜田君 自然が投げかけてくる問題を人間の力で解明していくところに楽しさがあると思います。
 末広君 「物理は数学という言語で書かれている」と言うように、全て数式化できるところが醍醐味だと思います。
 永濱君 紙とペンだけで素粒子のことから宇宙のことまで幅広く記述できるところにロマンを感じます。
 吉見君 厳密すぎることにこだわらず、本質を見てそこから厳密なことに広げていくことです。分からないことを分かる姿勢が好き。