練習は教室の机を本番と同じように配置して行う

栃木・宇都宮高校の英語部は、英語ディベートを行う部活だ。全国大会の常連で、全国高校生英語ディベート大会では2011年に優勝、14年に準優勝。13、14年には世界大会にも出場した。負けず嫌いな部員たちは、練習で互いの主張をぶつけ合い、ディベートの技術を磨いている。
(文・写真 大橋哲也)

「負けず嫌い」集団

放課後の教室で2年生5人がディベート練習を始めた。議題は「Democratic states shouldown their own broadcasting corporations(民主国家は独自の放送局を所持すべきである)」。持ち時間は1人5分。賛成・反対に分かれた部員たちは、時に手や腕を動かしながら、時間いっぱい意見を論じる。次から次へとよどみなく流れ出る英語。記者は英語圏の学校にいるような錯覚に陥った。

大会によってチームの人数は2〜4人と異なるが、「どんな大会でも、勝つためにはチームワークが不可欠」と有川虹輝(こうき)君(2年)は言う。「『こう反論されたら、俺はこう言い返す』『こう総括したいから、そうしやすいように反論してくれ』と事前に対策を練って、個々の力を結集することが大切です」

部員は根っからの負けず嫌いばかりだ。「英語を流ちょうに話す先輩に憧れて」入部したという部長の小林武史君(3年)は、昨年8月の世界大会に出場したメンバーの一人。各国の時事問題に関する知識不足を痛感し、「帰国後、英字誌のTIMEやエコノミストを読むようにしました」と明かす。

「知らなかった」を許さない

「『英語のフレーズやディベートのテーマを知らなかったから負けた』というのを生徒たちは許さない。成長することに貪欲で、私が指示しなくても練習を始め、部員同士で指導し合うんです」と顧問の有坂由美先生は言う。

小林君が実践してきた聴き取りの鍛え方を教えてくれた。「よく参考にしたのは国連のスピーチです。ゆっくりで聞きやすいし、内容も権利問題や社会問題などディベートに生かせるものが多い。これを何度も聞き返すのが効果的です」

部活データ 部員23人(3年生13人、2年生10人)=1年生入部前。全国高校生英語ディベート大会に6回出場、優勝1回、準優勝1回。練習は平日の放課後2時間。月の半分は土日も活動する。休日や大会直前にはOBの指導を受ける。