まずは解法を理解しよう

数学では、解法を「覚える」のではなく「理解する」ことが重要だ。まずは、何が定義で何が公式なのか、その公式をどのように使うのかを確認し、「なぜそのようにすると解けるのか」を考えよう。そのためには、問題集の模範解答だけでなく、教科書の解説の部分にもしっかり目を通すことが必要だ。

解法を理解したら、次は何も見ないで解けるかを確認しよう。模範解答を見て分かったつもりにならず、必ず手を動かして答案を書いてみること。最初は模範解答を見ながら解いてもよいが、最終的には何も見ないで解けるようになるまで繰り返そう。

このとき、1つの問題を解くために覚えるべきことがたくさんあると感じる場合は、その単元に関連する理解が足りていない可能性が大きい。自分がつまずいているところまで戻って復習することが苦手克服のポイントだ。

図を描いて考える習慣を

内容が複雑になる高校の数学は、式だけを見て理解しようとすると「何を求めているのか」が分からなくなってしまうことも多い。授業で先生が板書した図やグラフは描き写し、問題を解くときも図やグラフを描いて考える習慣を身に付けよう。

それでもどうしても分からないときは「自分はまだ解法を理解できていない」と認めた上で、一時的に解法を丸暗記することもやむを得ない。ただし、暗記して満足せずに、「いつか理解するぞ」という気持ちで覚え、「こういう意味だったのか」と分かるまで勉強を続けてほしい。

ミスしやすい部分を意識

解法が理解できたら、ミスなく解くことを目指すのも大切だ。特に新しい単元で出てきた計算は慣れるまでミスしやすいので、類題をいくつか解く中で「こういう計算ミスをしやすいから気を付けよう」と意識しておくとよい。また、注意不足による単純な計算ミスが多い人は、解き終わった後に、計算の部分だけでもよいので慎重に見直すようにしよう。

理解をより確実なものにしたいという人は、利用した公式そのものを証明できるようにしておくとよい。

数学は積み重ねが大切な教科なので、「少しくらい分からなくても、まあいいか」という油断が命取りになる。目の前の1つの問題の解法を確実に理解すること、ミスなく正確に解けるようにすることを心掛けてほしい。

 

 

 
若月一模先生(駿台予備学校 数学科講師)
わかつき・かずのり 東京都出身。東京都立大学(現・首都大学東京)大学院で物理学を専攻。教材作成や模擬試験の問題作成なども担当している。