埼玉・城西大学付属川越高校生徒会は12月23日、門松を3組作り、地元の老人ホームにプレゼントした。約10年前から続く伝統行事だ。(文・写真 野村麻里子)

「松には神様が宿るもの」1本1本心込めて

「誰か、正面を見てて。(竹が)真っすぐになるようにね」。地域の人から指導を受ける生徒たち。真ん中にそびえる青々とした3本の竹の周りに、松を挿すための土を注いでいく。「まだ足りないな」。下の方は固めて、上の方はふんわりと盛るのがコツ。6つの門松の土台が出来上がった。
 参加したのは、中高の生徒会10人。使った竹は、個人所有の竹林から許可を得て生徒が切り出した。生徒会長の根岸寛太君(2年)は「松には神様が宿るもの。丁寧に心を込めて作るようにと教わりました。4~5㍍もある竹は重くて、3人で支えないと切れない。協力しないと作れないものなんだと感じた」という。

松の枝をバランスよく差していく

 

 

 

 

 

 

 

 

和の心、日本の伝統文化を体感 

完成した3組6個の門松は、地元の老人ホームにプレゼントした。正月は、入居者の家族らが多く訪れる時期。「地元の高校の生徒が作ってくれた門松だ」と喜ばれるという。飾る時期が過ぎると、入居者は「青竹踏み」に使ったり、竹を割って花器として再利用したりして大事に使っている。
 20年前から生徒会で指導している高柳康雄先生は「最近は、門松を印刷した紙を玄関先に飾って済ますことも多いですよね。生徒には和の心、日本の伝統文化を体感し、地域の方とのつながりをつくってほしい」と願っている。

10人で協力して門松を作り上げた

 

 

 

 

 

 

 

【生徒会データ】
16人(2年生3人、1年生6人、中学生7人)。毎週木曜日放課後に定例会を行う。米やジャガイモ、キノコ、大根などを栽培。年2回、生徒500人分のカレーを作るほか、12月には餅つきや手作りみそのきのこ汁、入学式にはせいろで蒸した赤飯を作って振る舞っている。