第93回全国高校ラグビー大会(花園)が、12月27日から1月7日まで大阪・近鉄花園ラグビー場で開催された。最も注目を集めたチームの一つが、県下一の進学校で54年ぶりに出場した県浦和(埼玉)だった。 (文・写真 斉藤健仁)

 

3年生全員が国公立大志望

「勉強だけでなくラグビーにもチャレンジする」。部員72人のほとんどが、高校入学までラグビー未経験者の県浦和。OBで就任13年目の小林剛監督(39)の下、FW周辺での力強いプレーやディフェンスを鍛えて県の強豪へと成長した。

ただし今年度は、昨年度よりもFWの体格が小さいチームだったため、FWで勝負するだけでなく、チーム一丸となってボールを動かすラグビーを目指してきた。毎日、放課後2時間ほどの練習を重ねて、県予選決勝ではライバルの深谷を倒して54年ぶりに全国大会出場を果たした。

全体練習以外のトレーニングは、選手個々に任されている。個人的にパスやタックルの練習をする者もいれば、朝練習をする者もいる。校訓は文武両道を意味する「尚文昌武(しょうぶんしょうぶ)」。3年生全員が国公立大志望であり、部活後、学校に残って勉強時間を確保してきた。

 

初勝利は後輩に託す

迎えた花園は1回戦で光泉(滋賀)と対戦。前半こそ5-5で折り返したが、後半は個々の能力で上回る相手に得点を許し、5-22と突き放される。だが、24分に連続攻撃からWTB白石充(3年)=埼玉・埼玉大付中出身=がトライを挙げて一矢を報いた。「(このトライは)3年間の集大成だった」とHO柴田尚輝主将(3年)=同・内谷中出身=は振り返った。

12-22で敗戦後、泣き崩れる仲間に「ここで下を向いてもしょうがない。この先の夢に向かおう」と声を掛けた柴田主将は「将来、絶対にこの経験を生かしたい。(花園での)初勝利は後輩に託したい」と気丈に振る舞い、花園を去った。

 

チームデータ: 1946年創部。部員72人(3年生26人、2年生22人、1年生24人)。59年度に全国高校ラグビー大会初出場。今年度は関東大会Dブロック優勝。