2010 年に部員6人の同好会としてスタートを切った岩槻北陵(埼玉)ラグビー部。今では校内で一番活気のある部活になっている。部を支えているのは、就任4年目の清水祐哉先生(26)の行動力と信念だ。( 文・写真 斉藤健仁)
「ラグビーを通じて、生徒に人間力を付けたい」。清水先生は、決して部活動が盛んではない、初任となった同校でラグビー部を立ち上げた。
初年度は同好会からスタート。「一緒にラグビーをやらない?」。中学時代に部活動をしていなかった生徒や、学校を休みがちだった生徒に自ら声を掛けて回った。未経験者6人が集まった。
まずは、ボールを持って走る楽しさから教えた。「ルールがある中で、味方のために体をぶつけて、パスを回すラグビーには、教育的な側面がある」という信念を持つ先生は、学校から5分の所に住み、時には楽しく、時には厳しく真剣に部員と向き合い続けた。途中で学校を辞めてしまう生徒も少なくない中、過去3年間、部を辞める生徒は誰一人いなかった。 自分たちに対して本気で接してくれる先生と、グラウンドで一緒に汗を流す仲間を通じて、部員同士に連帯感が芽生える。
中学時代は帰宅部だったという赤沼辰浩(2年)=埼玉・中野中出身=は「良い仲間と出会えて、自分自身が変わることができた」。運動経験がなかった市村謙伍(3年)=同中出身=も「最初はラグビーのイメージが湧かなかったけど、みんなでやるのが楽しい! 大学でも続けたい」と話す。
また、「部活を頑張ると勉強も一生懸命やるようになる」と先生が感じているように、部が学校を引っ張る存在にもなった。
11年からは部に昇格し、昨夏には念願だったラグビーポールがグラウンドに立った。昨年の全国高校ラグビー大会県予選は初戦で敗退したが、初めて単独チームでの出場も果たした。
今年から、部員の遅刻防止も兼ねて朝練習を始めた。先生は「目標は花園予選ベスト8。地元のテレビで放送がありますから」と意気込む。