ユース世代の日本代表として、11月に東京都大田区で開催されたアジアユース・ジュニアウエイトリフティング選手権に出場した宍戸大輔

重量挙げ競技で、今年の全国高校選抜と全国高校総体(インターハイ)、国体を制し、高校3冠を達成した宍戸大輔(福島・福島工3年)。「競技を始めた当初は、自分が日本一の選手になれるとは思ってもいなかった」と言うが、ひたすらに自己記録を追い求めてきたことで、高校王者の座に上り詰めた。
(文・写真 小野哲史)

体に痛みが残るほど練習

重量挙げをしていた4歳上の兄の影響と、当時の顧問・長南国彦先生(現在は福島・白河実の教頭)に誘われ、高校から競技を始めた。「3年生のころまでに挙げたい」と思っていた重さ(ジャーク100キロ)を1年生の6月にクリアするなど、早々に記録を伸ばした。しかし、昨年3月の全国高校選抜は、予選出場に必要な基準記録に2キロ足りなかったため、全国の舞台は踏めなかった。

悔しさをバネに鍛錬を積んだ。「日々の練習では、常に体のどこかに痛みが残り、体力的にきつい」と話す。それでも繰り返しバーベルを挙げ、良いフォームを身につけた。週に1回は自己記録並みの高荷重で本番に近い練習を行う。常に頭に置いているのは、渡部靖監督からの「(バーベルを床から浮かす)『引き』の動作で、いかに集中できるか」というアドバイスだ。

その結果、昨年は8月のインターハイと10月の国体で、ともに2位に食い込んだ。2年生での表彰台は快挙だったが、「1位とは大差。来年はその記録を超えて優勝する」と心に決めた。

次の目標は全日本ジュニア

今年3月の全国高校選抜で悲願の日本一に輝いた。ただ、その大会では強力なライバルを避けて85キロ級に回っていただけに、「手放しで喜べなかった」。その後、さらに力をつけ、満を持して臨んだインターハイは本来の77キロ級に出場。スナッチ128キロ、ジャーク158キロ、トータル286キロでライバルに競り勝った。同じく77キロ級で出場した国体でも2位以下を寄せつけない完勝だった。

高校3冠という偉業を通過点と捉える。今後は「来年3月の全日本ジュニア選手権で高校新記録を出すこと」を目標に掲げ、「大学でもインカレなどで優勝して、国際大会で活躍したい」と意気込んでいる。「五輪は、今はまだ夢。一つ一つ、目の前の目標を達成し、それを積み重ねていくことで最終的に出られればと思います」

ししど・だいすけ
1999年1月18日、福島県生まれ。福島第一中卒。中学時代は野球部に所属し、県北選抜に選ばれた。169センチ77キロ。