鴻巣女子高校は、保育科を有する全国で唯一の公立校だ。保育科の生徒が目指すのはズバリ、幼稚園や保育園などで活躍する「保育士」。専門的な授業と実習を通じて、子どもとのふれ合い方を学んでいる。

教室から明るい歌声が響く。扉を開けると、保育科の1年生42人が「リトミック」の授業に取り組んでいた。

リトミックとは幼児教育で用いられる、体や声でリズムを表現する音楽教育のこと。保育科では国語や数学といった普通の教科に加え、リトミックのような保育に直結した科目を毎週月曜日の午前中に学ぶ。ピアノや絵画などの実技や、幼児の発育や児童福祉について学ぶ授業もある。

3年生になると、近隣の保育施設での実習が始まる。大矢咲さん(3年)は実際に子どもとふれ合い「年齢に応じてこちらの話し方、教え方も変えなければならないことが分かった」と実習で得た経験を話した。

卒業後は、ほとんどの生徒が保育士資格を取るために進学する。代田ひかるさん(3年)は、「いつまでも子どもたちと同じ目線で、元気に走っていられる先生になりたいです」と理想の保育士像を語ってくれた。(文・写真 青木美帆)

夢の空間 こどものくに

文化祭では毎年、3年生が複数の教室を使って子どものための空間「こどものくに」を作る。教室内を手作りの装飾品で飾り、近隣の子どもたちを招いてゲームやアトラクションでもてなす。招待状やゲームに成功した際に渡すおみやげも、すべて手作りという力の入れようだ。毎年、2年次の3学期から準備を進める。「大変だったけど、自分たちが保育科で学んだ力をすべて出せたと思います」と、伊藤千尋さん(3年)は笑顔で話した。