バドミントン男女シングルスの決勝は8月6日、福井県営体育館で行われ、男子は桃田賢斗(福島・富岡3年)=福島・富岡一中出身=が初優勝。女子は奥原希望(埼玉・大宮東3年)=長野・仁科台中出身=が2連覇を果たした。(文・写真 宇佐見英治)
桃田は決勝戦で同じ富岡の小林優吾(2年)=福島・富岡一中出身=と対戦した。小林は準決勝で桃田の宿敵ともいえる井上拓斗(埼玉・埼玉栄3年)=埼玉・埼玉栄中出身=を破った。
桃田-井上の対決となっていたならば、どちらかが一つポイントを取るごとに両校の応援席から大歓声が上がっていただろう。しかし、今回の決勝戦は富岡の先輩・後輩対決。会場は息を詰めて両者のプレーを見つめた。桃田の多彩なショットにため息が漏れ、小林の果敢な一打には拍手が湧いた。
桃田は「優吾のあんなに向かってくる顔つきは初めてだった」という。そして先輩としての気持ちを込めて突き放し、第1ゲームを21-16、第2ゲームを21-15で取って優勝した。
尊敬する田児賢一(23、NTT東日本)がこの時、ロンドン五輪日本代表として戦っていた。田児は埼玉栄高校時代の2007年インターハイで3冠達成。ロンドンからメールをもらった。「頑張れという内容だった」(桃田)という。
桃田自身も最後のインターハイで団体、シングルス、ダブルス全制覇を狙った。しかし、団体とダブルスは準優勝。桃田は「来年、優吾がやってくれることを期待します」と、後輩に思いをつないだ。
プロフィル ももた・けんと 1994 年9月1 日、香川県生まれ。6 歳でバドミントンを始める。2011 年世界ジュニアシングルス3 位。12 年アジアユースシングルス優勝。174㌢、68㌔。左利き。日本代表メンバー。