今、「カプセルトイブーム」が巻き起こっている。専門店ができたり、SNSで新商品の発売情報が話題になったりと、勢いがとどまるところを知らない。流行しているのは、高校生も例外ではない。カプセルトイの何が高校生をひきつけているのか。(椎木里咲)
商品は多岐にわたる
カプセルトイの商品は、キャラクターのフィギュアやストラップ、食べ物やコスメなどのミニチュア、ぬいぐるみなど多岐にわたる。高校生記者からは、「集めたトイをかわいく飾っている」、「専門店に足を運び商品を眺めている」などの投稿が寄せられ、楽しんでいる様子がうかがえる。

再現度高いミニチュアが人気「集めたくなる」
中でも「ミニチュア」は、高校生からも人気を集めているようだ。マオさん(仮名、3年)は特撮ドラマのミニチュア集めにハマっていて、「小さい変身グッズがかわいい」と笑う。

加えて気に入っているのは、人気ブランドのカバンのミニチュアだ。「実物の再現度が高い。フリルがちゃんとついているなど、本物がそのまま小さくなったようなんです」(マオさん)
「私はこれが好き」個性をあらわせる
高校生の中には、持ち物の目印としてカプセルトイの商品を使う人もいる。月に5回ほどカプセルトイを回すルリさん(仮名、高2)もその一人だ。

「筆箱や傘につけています。友達もカプセルトイ好きの子が多く、食べ物のミニチュアやキャラクターもののグッズなど、好みはバラバラ。おのおの好きなものを持ち物につけています」
商品展開が多いので、かぶることが少ない。目印になるほか、「私はこれが好き」と個性を表現する手段の一つになっている。
「お金が無駄にならない」
1回数百円と安価に楽しめる点も、高校生から支持を集めている。高校生新聞が高校生124人に実施したアンケートでは、商品が手に入れられない可能性のあるクレーンゲームと違って、狙っている商品ではなかったとしても、何かしらのトイは手に入るため、「お金が無駄にならない」(3年女子)という声が届いた。
さらに、「ランダムに出てくるから何回も回したくなる」(2年女子)、「回す瞬間がワクワクする」(1年女子)と、「回す行為」自体を楽しんでいる人も多かった。
「確実に商品が手に入る安心感」と、「何が手に入るかわからないワクワク感」が両立している点が、人気に拍車をかけている様子だ。
コロナ禍以降に売り上げが増加
カプセルトイの人気はどう変化しているのか。日本カプセルトイ協会代表理事の都築祐介さんは、「コロナ禍以降に売り上げが急増し、2022年の売り上げは、前年比の140%以上だった」という。

「売り上げの落ちたショッピングモールのテナントが撤退し、100~1000台程度のカプセルトイを設置するケースが増加した。無人販売で対面接客も不要なので、コロナ禍の需要にマッチしたんです」。東京の池袋や原宿など若者が多く集まる街には専門店もオープンしている。
ミニチュア商品は「企業の宣伝になる」
昨年から、お菓子やコスメなど、企業とコラボした「自社商品のミニチュア」がトレンドだという。ミニチュアは高校生からも支持されていた。

「企業からすると『広告』になる。ユーザーがゲットした商品をカバンにつけるなどして持ち運べば、メディアを介さずとも宣伝にもなるんです」
「個性」大事にする高校生に刺さったか
高校生世代に流行中のカプセルトイの種類は「ない」という。「なぜなら個人個人、好きなものがはっきりしている。昔は流行しているものをみんな一様に持っていましたが、今は『個性』を大事にしているように感じます」

現在、月に700点ほど新商品が出ている。「いろいろな趣味の人に刺さりやすい点も、今の高校生から人気を集めている要因かもしれません」
商品の種類が豊富なことも高校生からの人気を集める理由のようだ。
高校生に人気を集めるカプセルトイ。安価にかわいい商品が手に入る安心感と、何が出るかわからないわくわく感を楽しめるエンターテインメント性、加えて「個性」を体現できる点が、人気を集める秘密のようだ。