データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2025年度大学入学共通テストの「公共,政治・経済」の問題分析は次の通り。
― 時事的なテーマを考察する問題が、資料読解とともに多く出題された。昨年より易化―
第1問・第2問は「地理総合/歴史総合/公共」の『公共』と「公共、倫理」との共通問題であった。全体として、資料を読み取り分析・考察する出題が目立った。時事的な現実社会の課題と知識を結び付けたり、解決に向けて構想したりする力が求められた。資料の単純な読み取り問題や4択の問題が増加し、難易は昨年の政治・経済より易化。
大問数・解答数
大問数6。解答数は昨年の政治・経済の30個から32個に増加した。第1問・第2問は『公共』「公共、倫理」との共通問題であった。
出題形式
組合せ問題は、昨年の政治・経済よりも増加(23→27)した。4択の問題が大幅に増加(10→20)し、問題数の過半数を占めたが、7択以上の問題も出題された。例年通り、会話文や文章中の空欄に入るものの組合せを選択する問題が出題された。資料の単純な読み取り問題が複数みられた。
出題分野
第1問・第2問は公共の内容から出題された。第3問から第6問は政治・経済の範囲での出題であった。経済分野からの出題が増加した。
問題量
昨年の政治・経済並。
難易
昨年の政治・経済より易化。
大問別分析
第1問「男女共同参画の推進」 (12点・標準)
『公共』「公共、倫理」と共通問題。大問全体を通して、男女共同参画の現状と制度改革を中心に、人権などの学習事項の理解が問われた。問2では性別役割意識の性別・年代ごとの比較が出題された。
第2問「公共空間の持続的な形成に向けて」 (13点・標準)
『公共』「公共、倫理」と共通問題。大問全体が、公共空間の在り方をテーマに設定した生徒たちが探究学習を進めていく構成であった。問1ではハーバーマスとアーレントの思想の理解が問われた。問3と問4では哲学カフェやICTをテーマに、抽象的な概念や構想を具体例に当てはめる出題がみられた。
第3問「地域社会へのかかわりと安全な社会づくり」 (18点・やや易)
政治・経済分野から資料の読解と基本的な知識が問われた。問4ではSNSと絡めて表現の自由の意味の理解を求める問題が出題された。問5では「ふるさと納税」の制度について、資料の読解と考察が求められた。
第4問「国際政治や経済のあり方」 (19点・やや難)
新型コロナウイルスの影響やロシアのウクライナ侵攻など時事的なテーマの会話文をもとに展開され、国際政治・国際経済の分野を中心に出題された。問4ではICCの目的や活動について、知識と考察をもとに答えを導く出題であった。問5は常任理事国が拒否権を行使した際に、総会がその説明を求める意義について考察する問題であった。
第5問「日本の労働・雇用問題と国際比較」 (19点・標準)
現在の労働問題に即して、経済分野から出題された。労働・雇用の考え方について、知識の活用が求められた。問4は労使の力関係を問う基礎的な問題であった。問6は日本型雇用慣行の特徴について、知識をもとに考察することが求められた。
第6問「経済を活性化させるための企業の新規参入の促進」 (19点・標準)
生徒が探究学習で学んだ内容の概要を素材に、経済分野を中心に出題された。企業の経済活動とそれをとりまく市場の仕組みや法制度について資料に基づいて読み解く力が問われた。問2では具体的な数値やグラフの読み取りをもとに、需要曲線や売上総額を計算することが求められた。
【参考】過去5年の「政治・経済」の平均点(大学入試センター公表値)
- 2024年度 44.35点
- 2023年度 50.96点
- 2022年度 56.77点
- 2021年度 57.03点
- 2020年度 53.75点